2007 Fiscal Year Annual Research Report
非流動性資産デリバティブの価格付けとヘッジ手法の確立
Project/Area Number |
19510138
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 雄二 University of Tsukuba, 大学院・ビジネス科学研究科, 准教授 (50344859)
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Keywords | ファイナンス / 天候 / 環境データ / 非流動性資産 / 価格付け・ヘッジ |
Research Abstract |
当該研究課題に対し、今年度は、非流動性資産デリバティブである天候デリバティブに対し、(1)市場取引に有効な価格付け手法の構築と、(2)風力に対する新たな天候デリバティブの提案を行った。 (1)については、天候デリバティブにおいて最も盛んに研究が行われている気温デリバティブに対し、まず、相対取引における適正価格を導出し、結果を複数エージェントの場合に拡張することによって均衡価格を導いた。この結果は、気温を中心とした天候デリバティブが従来は相対取引を中心として行われていたが、最近は取引所取引が活発になりつつあることを背景とし、相対で行われていた価格付けが取引所取引のような複数の参加者による取引にどうのように拡張されるかを考察した点において、学術的意義は高いものと考えられる。なお、この結果は、学術誌Journal of Riskに採択され、掲載された。 (2)については、近年、地球温暖化を背景として注目されている環境にやさしいエネルギーである風力発電に焦点をあて、風力発電による出力誤差に伴う損失を効果的に補填するための天候デリバティブを提案した。風力発電においては、出力が風況に依存し、どの程度の出力が得られるかが事前に不確定なことが、計画発電等に利用するための問題点として挙げられていた。そのため、風況予測から出力を推定し、事前通告することで取引を行う試みが行われているが、このような取引においては、出力予測誤差によって新たな損失が生じてしまう可能性がある。そこで本研究では、風況予測誤差に基づく新しい天候デリバティブを提案し、そのヘッジ効果を実際のデータを用いて統計的に実証した。この研究は、風力発電による出力取引を効果的に行うための天候デリバティブ構築法として、現在、注目されている。
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Research Products
(9 results)