2009 Fiscal Year Annual Research Report
多変量解析とデータマイニングによる保険薬局の調剤過誤防止策具現化の研究
Project/Area Number |
19510154
|
Research Institution | Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy |
Principal Investigator |
早瀬 幸俊 Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy, 薬学部, 教授 (30112585)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 秀彦 北海道薬科大学, 薬学部, 准教授 (70326560)
|
Keywords | 医療安全 / 調剤過誤 / 品質管理 |
Research Abstract |
平成21年度は主に薬局における調剤インシデントデータの定量的解析に注力するとともに、当該現場薬師の調剤過誤に対する意識のアンケートデータとの関連性について分析を進めた。成果としては、インシデントデータの解析のうち重回帰分析による検討結果を「保険薬局における調剤ミスの種類別要因の特徴」として第19回日本医療薬学会で発表した。インシデント内容ごとで分析した結果、「規格誤り」と「他薬調剤」は似た原因変数が有意となったが、偏回帰係数の大小関係が異なること、「計数誤り」は有意となる原因変数が前者と異なることが示された。薬局の実務レベルでは、原因変数の「注意不足」について詳細に検討しようとする動きがあるが、「思い込み」について検討すべきであることが示唆された。また、判別分析も併用した結果は「保険薬局における調剤ミスの要因分析-重回帰分析と判別分析による検討-」として第4回医療の質・安全学会学術集会で発表した。判別関数は、「規格誤り」と「他薬調剤」は有意とならず、「計量誤り」は他2つとの比較で有意となり、大きく原因が異なることが分った。更に、当該薬剤師の意識との関連性の分析結果は、「保険薬局における調剤ミスの原因と安全風土の関連性に関する検討」として日本社会薬学会第28年会にて発表した。ここでは、「処方せん確認不足」という原因変数に関して、「規格誤り」では『過誤防止の積極性』と『ミスへの意識』の構成概念と、「他薬調剤」では『情報の共有』の構成概念と、弱い相関を示すことが明らかになった。以上から、「規格誤り」を回避するためには、過誤防止への積極性を向上させるような薬局の雰囲気作りと、過誤発生時に当事者のみに責を負わせない職場風土の醸成、「他薬調剤」の防止には処方せん確認の際の注意喚起を強化するための情報共有しやすい職場環境の構築等が重要であることが示唆された。
|
Research Products
(5 results)