2008 Fiscal Year Annual Research Report
地下閉空間内火災時における避難者から見た視認性に関する実験およびシミュレーション
Project/Area Number |
19510167
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川端 信義 Kanazawa University, 理工研究域・機械工学系, 教授 (90126631)
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Keywords | トンネル火災 / 火災実験 / 避難環境 / 煙濃度 / アンケート調査 / 視認性 |
Research Abstract |
被験者が大型模型トンネル内に入り,避難環境に関するアンケート調査を行った.平成20年度は中高年齢者(30〜50代)の男性被験者に注目してアンケート実験を行った.またアンケート結果を4段階評価により定量的に評価することを試み,過年度の結果も合わせてアンケート結果の評価を行った.その結果,10代後半から20代前半の若者に比べると30代以上の成人男性では全体的な避難可能性の評価値が低くなる傾向があった.さらに,アンケート実験と同条件時の煙濃度分布を計測し,同時に避難者から見た映像を取得し,避難者の心理と周囲の煙濃度および映像との定量的な比較を試みた.その結果,以下のことが明らかになった.被験者の周囲の煙濃度が低く十分避難が可能であると判断されるCs濃度0.4(1/m)以下の場合でも,天井部の照明が煙によって遮られ被験者の周囲が暗くなることにより避難可能性の評価は極端に低くなり,ほとんどの被験者が避難不可能と判断した.煙濃度から判断される避難環境は火源側よりその反対側の方が悪いにもかかわらず,火源側の非常口に避難するのが安全と判断した被験者は極めて少なく,火源より遠ざかる方向に避難する心理が強いことがわかった.以上より,現在の避難環境の基準であるCs濃度0.4以下という判定だけでは不十分であり,避難者の心理・行動パターンと煙挙動との関連を考慮した避難環境の評価が必要とされることが明らかになった.なお,上記の成果は平成21年度火災学会研究発表会にて発表予定である.次に,煙がない場合の実写映像を元に,実測した煙濃度(光の透過度)を用い,煙による光の拡散モデルによって煙が存在するとしたCG映像を作成し,煙がある場合の実写映像との比較を行ったが,違いが大きく対応する状態と判断できるまでには至らなかった.
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