2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510184
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
多田 卓 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 地質情報研究部門, テクニカルスタッフ (40349840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長 郁夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (10328560)
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Keywords | 常時微動 / 地盤探査 / アレイ観測 / 表面波 / レイリー波 / ラブ波 |
Research Abstract |
常時微動とは、地震等が起きていないときにも常時存在している、人体に感じられないほど微小な地盤の揺れのことをいい、微動探査法とは、地表面で常時微動を計測することにより、地下の地盤構造を間接的に推定する諸手法の総称である。微動探査の有力手法の一つである空間自己相関法(SPAC法)は、円形に配置した地震計アレイで微動の同時測定を行い、その記録の解析から表面波の位相速度分散曲線を推定するものである。 SPAC法は長い実用の歴史を有するが、その測定条件と解析精度との関係については、十分な理論的解明がなされておらず、これまではケース・バイ・ケースで判断されることが多かった。この宿問に対し、我々は今年度発表の論文を通じて、一つの回答を提示した。それによれば、正三角形とその重心位置に計4個の測定点を置く標準配置の場合、微動到来方向の角度的な広がりの半幅が最低約30度あれば、十分な解析精度が得られる。わずか2個の測定点を用いる簡便法の場合でさえ、微動到来方向の広がり半幅が約135度以上あれば十分である。 これと並行して我々が今年度行ったのが、超小型の地震計アレイによる微動探査法の開拓である。既往研究では最低でも数メートル規模のアレイが用いられているが、これをさらに小型化できれば、測定用地の選定や機材の展開が容易になり、とりわけ都市部での機動的探査に恩恵が期待される。我々が独自開発したSPAC法の姉妹手法で、SPAC法よりも長波長領域に強い「ノイズ補正CCA法」を用いた結果、半径わずか0.3メートルのアレイによってさえ、波長数十メートルまでのレイリー波位相速度を同定できることが、野外実験により確かめられた。 SPAC法は主として、レイリー波速度の推定に用いられるが、今年度はまた、ラブ波速度の推定に用いることのできるSPAC法の新しい姉妹手法を着想し、予備的な理論整備を行った。
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Research Products
(4 results)