2008 Fiscal Year Annual Research Report
越流による侵食過程を考慮した堤体のハイブリッド型安定性評価手法に関する研究
Project/Area Number |
19510187
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
大塚 悟 Nagaoka University of Technology, 工学部, 教授 (40194203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細山田 得三 長岡技術科学大学, 工学部, 準教授 (70262475)
磯部 公一 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (70452084)
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Keywords | 堤防 / 破堤機構 / 越流 / 模型試験 / 数値解析 / 浸透破壊 |
Research Abstract |
本研究は堤体の不飽和・飽和せん断強度および堤体内の浸透力を考慮して堤体の侵食プロセスにおける安定性評価の解析システムを開発することを目的とする.解析手法の開発には実際現象の把握が不可欠であることから,室内模型試験を用いて越水による堤体破壊過程の実験を行い,越流時の堤体や基礎地盤の浸食状況の観察から破壊機構の解明を行う.以下に今年度の研究成果を箇条書きにする。 1. 堤体模型試験では上流側の水位を保持した後に(堤体内の水分が多い)越流を行う試験と,上流側の水を一定速度で上昇して(堤体内の水分が少ない)越流させる2つの試験を実施した.試験では越流による堤体侵食の形態に差異のあることを示した.堤体内の水分が多い場合に越流による僅かな水理条件の変化によって堤体の崩壊が誘導され,堤体のすべり崩壊を伴って崩壊することを示した.一方,堤体内の水分が少ない場合には侵食が卓越して,堤体を水の流下によって切り取るように侵食して崩壊に至ることを明らかにした.今後,堤体基礎地盤を含めた堤体全域の検討が課題に残された. 2. 越流による堤体の侵食過程を流体力学に基づいて,越流水の数値解析により評価した.堤体の侵食は流速に関連付けて表現した.解析の適用性をH16の新潟・福島豪雨災害における刈谷田川の堤防の破堤現象の数値シミュレーションに適用して,解析手法の適用性を明らかにした.しかし,現状では堤体内の浸透を考慮していないので,堤体内外の水の流れを取り扱う課題が残された. 3. H16の新潟・福島豪雨災害における五十嵐川の堤防破堤現象の数値シミュレーションを堤体・基礎地盤内の飽和・不飽和時の浸透および強度特性を考慮して実施した.従来の解析手法に対して,堤体の不飽和・飽和せん断強度や浸透特性を考慮した合理的な解析が可能なことを明らかにした. 上記の成果を取りまとめて学会等に公表の予定である.
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