2007 Fiscal Year Annual Research Report
機能ゲノミクスによる線虫C.エレガンスの感覚受容機構の解明
Project/Area Number |
19510196
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國友 博文 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (20302812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯野 雄一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40192471)
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Keywords | 線虫 / 化学感覚 / 繊毛 / 鞭毛内輸送 |
Research Abstract |
神経系は機能的に、また形態的にも、実に多様な細胞から構成される。本研究は神経機能の研究に利点の多いモデル生物、線虫C.エレガンスを用いて、神経細胞の多様性が生じる仕組みをゲノム機能解析のアプローチで明らかにすることを目標としている。 本研究課題の開始以前に、マイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイリングを行い、感覚神経で発現する遺伝子を多数同定していた。その過程で同定されたdyf-11遺伝子は、レポーターを用いた実験から、ほぼすべての感覚神経に特異的に発現することがわかっていた。また、そのプロモーター領域には、繊毛の働きに関与する既知の遺伝子が共通に持っている転写調節配列があることなどから、dyf-11は感覚繊毛の機能に重要な遺伝子であると予想し、機能解析を進めた。 dyf-11変異体は野生型に比べて感覚繊毛が著しく短く、化学走性や高浸透圧忌避などの行動に異常を示した。変異体に時期特異的に正常な遺伝子を発現させる実験から、DYF-11遺伝子産物は繊毛の形成のみならず維持にも必要なことがわかった。ところで、繊毛の形成には、鞭毛内輸送(Intraflagellar transport,IFT)と呼ばれる種を超えて保存された仕組みが必要である。IFTでは、繊毛の構成成分や繊毛の先端に局在する受容体などが、十数種類のタンパク質からなるIFT複合体と共にキネシンIIおよびダイニンにより微小管の軸糸に沿って輸送される。蛍光タンパク質との融合遺伝子を用いた移動速度測定実験から、DYF-11は感覚神経の繊毛に局在し、IFTによって繊毛内を輸送されるタンパク質であることが明らかになった。また、dyf-11遺伝子は繊毛を持つ生物種に保存されている。腎上皮培養細胞の抗体染色により、哺乳類のDYF-11オルソログTraf3iplが繊毛に局在することを明らかにした。
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Research Products
(3 results)