2008 Fiscal Year Annual Research Report
RNAポリメラーゼIの活性化の分子基盤とリボソーム合成調節との階層性
Project/Area Number |
19510200
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
禾 泰寿 Saitama Medical University, 医学部, 教授 (60101937)
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Keywords | 分裂酵母 / RNAポリメラーゼI / rrn3 / DsRed / ker1 / 核小体 |
Research Abstract |
(1)分裂酵母のrrn3が出芽酵母のrrn3変異を相補した。Rrn3pは種を超えて機能的に保存されている。(2)分裂酵母RNAポリメラーゼI(pol I)サブユニットRPA190,Kerlp,リボソームDNA(rDNA)転写因子Rrn3pの各々とDsRed(赤色蛍光タンパク)との融合遺伝子を構築し、染色体の本来の遺伝子の位置に置換挿入した。対数増殖期と定常期でRPA190,Kerlp,Rrn3pの局在性を調べると定常期では各タンパクが細胞質に多数の塊状で局在し、少量が核小体に残るが、対数期にはすべて核小体に局在した。即ち定常期ではrDNA転写装置の大部分が核から離脱することが示された。故に定常期ではrDNA転写が急速に減衰するのはPol IサブユニットとRrn3pが核より離脱する事が原因の1つである。(3)rrn3-rpa21融合遺伝子及びrrn3-kerl融合遺伝子を構築して、kerl欠失株のrrn3遺伝子と置換した。ker1欠失株は温度感受性株であるが、置換された株では温度感受性が抑圧された。これはKerlpがPol 1の活性化においてRrn3のPol Iへの結合を促進する(RPA21を介して)という我々の仮説を支持する。(4)Pol IサブユニットKerlpのker1失失株にrrn3-DsRed, fibl-GFPを形質転換し、非許容温度で核小体構造を蛍光で調べると核小体が核より離脱していることが示され、核小体の維持にはPol I構造よりもrRNA合成が必要であることが示された。(5)過酸化水素によるストレスを細胞に加えると少数のRPA190、Ker1Pは核に残るが、大多数は細胞質に分散し、Rrn3Pは核より消失した。酸化ストレスはPol IよりfDNA転写因子自体が主要な標的である事を示した。(6)酵母two-hybrid法でRrn3PのN末側がリボソームタンパクSOAとSOBと相互作用することを示した。またRrn3PのN末端側とRrn3PのC末端側が相互作用するがN末側にはリボソームタンパクSOAまたはSOBが結合するのでRrn3PのN末側とC末側の相互作用がリボソームタンパクSOAとSOBで調節されている事が示唆された。
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