2008 Fiscal Year Annual Research Report
生体内選択的スプライシング可視化技術によるスプライシング制御機構の解析
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19510203
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒柳 秀人 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・疾患生命科学研究部, 准教授 (30323702)
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Keywords | 選択的スプライシング / 線虫 / レポーター / RNA結合タンパク質 / Fox-1 / 可視化 / 蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
選択的スプライシングは、多細胞生物のタンパク質の多様性を担う重要な遺伝子発現制御機構である。本研究課題では、代表者が開発した生体内選択的スプライシング可視化技術を応用して選択的スプライシングの制御機構の分子的実体を解明することを目的とした。 i)前年度までの解析で組織特異的選択性を示すことが明らかとなったunc-32遺伝子の選択的スプライシング・レポーター線虫を用いて、神経系や全身でのエクソン選択性に異常を示す変異体を約30株単離した。そして、遺伝子のマッピングの結果、これまでに2つの遺伝子座を同定した。1つは、線虫の神経系で特異的に発現し運動異常の原因となることが知られているが機能は未知のRNA結合タンパク質であった。もう1つは線虫では機能が未知で、哺乳類ではごく最近になって転写の制御に関わることが報告された遺伝子であった。 ii)組織依存性を示すunc-32遺伝子の選択的スプライシング・レポーターについて、予測された発現制御に必須のシス・エレメントを改変した変異型レポーター線虫を作製した。その結果、エクソン7aの神経系特異的な選択性に、イントロン7bに存在するUGCAUG配列が関与していることを見出した。さらに、UGCAUG配列に結合してスプライシングを制御するFox-1ファミリーRNA結合タンパク質がunc-32遺伝子の神経系特異的エクソン7a選択性に関与していることを見出した。 これらの結果は、複数の制御因子が協調することでunc-32遺伝子の神経系特異的な選択的スプライシングを巧妙に制御していることを示すものである。
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