2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖ヌクレオチド輸送体による器官形成制御の分子メカニズム
Project/Area Number |
19510205
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
平岡 秀一 National Research Institute for Child Health and Development, 移植・外科研究部, 研究員 (20291156)
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Keywords | 糖ヌクレオチド輸送体 / グリコサミノグリカン / 器官形成 |
Research Abstract |
本プロジェクトは、コンドロイチン硫酸(CS)やヘパラン硫酸(HS)等のグリコサミノグリカン(GAG)の生体内における機能を理解するために、GAG合成を人為的に操作できるSLC35D1とSLC35D2の遺伝子改変マウスを用いて、生体内における糖鎖修飾の役割を明らかにしようとする試みである。(□)初期胚の解析:SLC35D1およびSLC35D2をともに欠損するとき、頭部間充織、未分節中胚葉間充織、基底膜のCSおよびHS含量が著しく低下することを見いだした。さらに^<35>S-硫酸で胚を標識し、放射能を指標にGAGの生合成能を分析したところ、欠損胚では顕著に低下していた。(□)脳神経系の解析:神経細胞特異的なCreリコンビナーゼ系を導入し(Nestin-Cre)、神経細胞特異的にSLC35D1およびSLC35D2の欠損を誘導した。欠損マウスに脳や神経の発生における顕著な異常は見出せなかった。脳神経系細胞外マトリクスのGAGは、グリア細胞等の神経細胞以外の細胞によって産生される可能性が示唆された。(□)免疫系における解析:SLC35D1とSLC35D2をともに欠損する胚からマスト細胞の誘導を試みたが、取得することは出来なかった。GAGがマスト細胞への分化に不可欠である可能性が示唆された。(IV)その他の解析:皮膚表皮特異的に発現するCreリコンビナーゼ系を導入し(K5-Cre)、皮膚特異的にSLC35D1およびSLC35D2の欠損を誘導したところ、体毛の短縮が観察された。GAGの低下によって「成長期」「退行期」「休止期」に分類されるヘアサイクルのうち、「成長期」に異常が生じたと考えられた。
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