2010 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおけるケミカルフェノームと新規表現型スクリーニング系の開発
Project/Area Number |
19510206
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
黒森 崇 独立行政法人理化学研究所, 機能開発研究グループ, 研究員 (80332295)
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Keywords | シロイヌナズナ / フェノーム |
Research Abstract |
モデル植物シロイヌナズナは遺伝子への挿入変異による変異体リソースが作成できることから、全ての遺伝子に関して遺伝子破壊系統を確立すること(saturation mutagenesis)が可能である。このことはシロイヌナズナが、変異体を用いることで全遺伝子の機能解析が実現可能な多細胞生物であり、ゲノム的な解析に非常に有利なモデル生物種であると捉えることができる。一方、変異体リソースを用いたこれまでの研究において形態異常を指標とした網羅的な表現型観察が試みられた例はあるが、目視で見付けることが難しい表現型(non-visible phenotypes)まで包括的に探索した表現型解析の研究例はない。そこで本研究課題では、シロイヌナズナの遺伝子破壊型変異系統を用いたフェノーム解析の新たな試みとして、化合物等を与えた条件で育成させることで環境条件依存的に観察され得る表現型(conditional phenotypes)を効率的に調べる方法を確立することを目的とした。各遺伝子変異体の生育環境条件によって現れる表現型の探索と、変異体ラインの化合物添加による新規表現型スクリーニング系の開発を目指した。化合物等を植物体に与えた場合に見られる表現型を多検体同時に探索するために、植物の初期の育成段階である種子の発芽からその後の幼苗育成に注目した。マルチタイタープレート内で発芽育成させた様子を経時的にスキャナーで取り込んで観察することにより、ハイスループットな化合物応答検定試験を確立することができた。また、この手法を実際に遺伝子破壊型変異体リソースであるトランスポゾンタグラインに適用することで、植物ホルモンABAに高感受性を示す新規変異体を得ることができた。
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