2008 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類概日時計の位相調節関連タンパク質のプロテオーム解析による検索
Project/Area Number |
19510207
|
Research Institution | Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences |
Principal Investigator |
坂本 克彦 Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences, 研究部門時間ゲノム学研究グループ, 特別研究員 (40416673)
|
Keywords | 概日時計 / プロテオーム / ゲノム / 哺乳類 / 視交叉上核 / 位相変位 |
Research Abstract |
環境サイクルの変化に対して位相を時刻依存的に同調(前進または後退)させることは、概日時計のもつ必須機能のひとつである。概日時計の発振機構が分子レベルでかなり明らかにされているのにくらべて、位相調節機構に関しては解明が進んでいない。本研究では、「哺乳類の脳内時計中枢である視交叉上核(SCN)由来の細胞株を用いて、プロテオーム解析によって概日時計の位相調節機構関連タンパク質を包括的に検索し、哺乳類概日時計の未知の入力系を発見すること」を目標とした。 今回実験対象としたラットSCN由来細胞株の概日リズムの位相は、forskolin刺激によって時刻依存的に前進もしくは後退することが知られている。そこで先ず、forskolin刺激によりSCN由来細胞株の位相変位を誘導したときに、発現変動を示すタンパク質の同定を、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動解析システムを使用した高解像度のプロテオーム解析により試みた。その結果、観察した約4400個のタンパク質スポットのうち、約230個のスポットが位相変位刺激により発現量の変化を示した。質量分析による同定をおこなったところ、発現変動を示すスポットは約50種類のタンパク質に対応することがわかった。 次に、同定されたタンパク質のうち、情報伝達系やタンパク質分解系など、位相調節機構に関与する可能性があると推測された約20種類ものに対して、対応遺伝子のsiRNAをデザインし、機能ノックダウン実験をおこなった。すると、興味深いことに、Dyncli2、Ubal、Zyxinの、3つのタンパク質では、機能阻害により、位相変位応答能が大きく低下することがわかった。 現在は、上記の位相調節機構関連タンパク質候補が概日時計の制御機構にどのように関与しているかを、分子レベルで精力的に解析している。
|
Research Products
(2 results)