2008 Fiscal Year Annual Research Report
多剤併用治療下のエイズウイルスの分子進化解析と薬剤耐性獲得機構の解明
Project/Area Number |
19510208
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
任 鳳蓉 Tokyo Medical and Dental University, 情報処理センター, 特任准教授 (60280989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 博 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (60155158)
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Keywords | 経時的なHIV宿主内進化 / 連続HIVサンプル / 抗HIV薬剤耐性 / Single Genome Sequencing(SGS)法 / HIV遺伝子の共進化 / 決定木構築法 / 相互情報量 / vSPAアルゴリズム |
Research Abstract |
(1) HIV宿主内進化解析法の開発 我々が開発した解析アルゴリズム vSPA を AIDS 患者2症例から経時的に採取した1000個近い HIV-1PR と RT 遺伝子のサンプルへ適用し、経時的なウイルス進化パスウェイを構築した。そのパスウェイに沿って既知の薬剤耐性変異を多数検出しただけでなく、今まで報告されていない2つの耐性変異間の共進化関係も見出した。これらの結果は、耐性変異獲得メカニズムの解明に対して、重要な情報を提供できると考えられる。この研究の成果は以下の論文にまとめ、国際誌に投稿した。 Hasegawa N, Sugiura W, Shibata J, Matsuda M, Ren F^*, Tanaka H: Inferring within-patient HIV-1 evolutionary dynamics under anti-HIV therapy using serial virus samples with vSPA. Submitted (2) PR と Gag の共進化に関する解析 抗HIV治療を受けた1症例より経時的にサンプルを採取し、SGS法により合計129個の配列が得られた (Gag-PR-RT領域) 。 Spidermonkey により解析したところ、8つの共進化ペアが推定された。その中でも、Gagの切断点近傍に位置するP453L がNFV耐性変異であるPRのD30NおよびN88Dと共進化していることに注目した。 in vitro の実験系にて確認したところ、 NFV の存在下においてP453L, D30N, N88Dをもつウイルスは高い増殖能力を示した。この研究成果について、すでに英文論文を作成し、近いうちにウイルス系国際誌に投稿する予定である。 (3) 情報論アプローチによる薬剤耐性獲得パターンの抽出 決定木構築法を実際の症例 (10例) とDatabaseから抽出したHIV-1のPR配列 (約3000個) に適用し、抗HIV剤組合せに対しての共通変異ルールを抽出する解析を試みたが、明確な結果が得られなかった。
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