2008 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄近海産軟体サンゴからの海洋生物に特有なプロスタノイドの探索研究
Project/Area Number |
19510222
|
Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
井口 和男 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 生命科学部, 教授 (50057345)
|
Keywords | 有機化学 / 海洋資源 / 軟体サンゴ / 脂質 / プロスタノイド |
Research Abstract |
平成19年度に沖縄県石垣島近海にて採集した軟体サンゴの脂溶性抽出物につき、本年度はプロスタノイドを含む脂質成分の検索を行った。すなわちSinularia leptocladis、Sinularia ornata、Sinularia flexibillis、Sinularia maxima、Sarcophyton glaucumの5種の軟体サンゴについて検索した。脂質成分は各種クロマトグラフィーを用いて分離精製を行い、単離した化合物の化学構造は二次元NMRを中心とした機器分析により立体配置も含めて明らかにした。昨年度から継続して成分研究を行っているS. leptocladisからは20種を超える新規ジテルペノイドに加えて、シクロプロパン環を有する新規なエイコサノイドを見出すことができた。このタイプのエイコサノイドはプロスタノイドと同じく不飽和脂肪酸であるアラキドン酸から生合成されることが知られているので、このシクロプロパン環を有する新規なエイ数サノイドの発見は、S. leptocladisがプロスタノイドも生合成している可能性を示唆する重要な発見と考えている。併せて見出された新規ジテルペノイドのうち、2種のものは海洋生物はもとより陸生生物にも例を見ない新奇な骨格を有しており、テルペノイドの領域において価値ある知見と言える。他の新規ジテルペノイドの多くはセンブラン型であった。またS. ornataからは1種の既知センブラン型ジテルペノイド、S. flexibillisからは1種の新規センブラン型ジテルペノイド、S. maximaからは3種の既知センブラン型ジテルペノイド、S. glaucumからは2種の既知センブラン型ジテルペノイドをそれぞれ見出した。
|