2008 Fiscal Year Annual Research Report
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症の疾患マーカーの同定、化学合成と測定法の開発
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19510223
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
飯田 隆 Nihon University, 文理学部, 教授 (60060125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿山 玄太 日本大学, 文理学部, 助手 (70453868)
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Keywords | 生体分子 / PFIC症 / 二次異常代謝産物 / ステロイド多重抱合体 / LC-MS |
Research Abstract |
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC症)などの先天性胆汁酸代謝異常症では、ステロイド生合成あるいは代謝の恒常性に重大な障害をきたし、尿中に特異な構造をもつ二次代謝異常成分である多重抱合型ステロイド代謝産物が有意な量で常在する。従って、それらが疾病の特異的診断マーカーになり得るものと期待されている。当該年度ではこれら多重抱合型ステロイドを取り上げ、先ず、有機合成化学的手法を用いて、生体内多重抱合型ステロイド異常代謝産物を化学合成し、それらを用いて構造決定すること、第二に液体クロマトグラフィー-質量スペクトル(LC-MS)法による高感度で信頼度の高い直接一斉分析法の確立すること、第三に健常者と肝疾患者の異常代謝産物の体内動態を比較精査して的確な診断指標を確定し、病態解析と病因解明を行ない、疾病の早期発見に資することを目的とした。先ず、標的とする先天性胆汁酸代謝異常症患者尿中に存在が予測された一連の3β-OH-△^5系異常胆汁酸多重抱合体の標品合成に取り組んだ。3β-OH-△^5胆汁酸を効率的に合成するための手法の一環として、ステロイド分子中の不活性炭素を直接水酸化する最適方法について検討した。その結果、ジオキシラン類縁体をその場発生させ、3β-OH-△^5構造を基本骨格にもつコレステロールの側鎖のC-25位を直接酸化し、オキシステロール類の短段階・高効率合成を達成した。以上の知見を有効に利用し、一連の異常胆汁酸抱合体の評品合成を行った(Steroids74 81-87(2009)掲載)。次いで、LC-MS法で高感度・高精度に定量する為に適切な内部標準物質(IS)候補化合物4種の分子設計を行い、ELSD-HPLCによるプレリミナリーな分析条件を検討し、至適IS化合物を選定した(Steroids誌投稿中)。一連の標品並びにISの合成が終了したので、現在はこれらを活用し、健常人と肝障害を併発した先天性代謝異常症の患者尿分析に検討を加え、高感度・高選択的なLC-ESI/MSによる定量法の開発を行なっている。
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Research Products
(13 results)