2007 Fiscal Year Annual Research Report
希少猛禽類の保全を意図した繁殖北限域におけるサシバの繁殖規定要因の解明
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19510231
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
東 淳樹 Iwate University, 農学部, 講師 (10322968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝田 智俊 岩手大学, 農学部, 教授 (10089930)
百瀬 浩 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究, サブチーム長 (30250020)
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Keywords | サシバ / 繁殖北限 / 行動圏 / ハビタット・モデル / 給餌動物 / 繁殖制限要因 / 食物摂取量 / 岩手 |
Research Abstract |
岩手県紫波町から北上市東部を中心に21地点で合計29個体のサシバの生息を確認した。そのうち,繁殖している可能性が高い地点は13ヶ所であった。また、生息モデル作成のための判別分析の結果、2kmグリッドセルでは水田-森林接線長が説明変数としてそれぞれ選択され統計的に有意なモデルが作成できた。 行動を追跡した4個体の行動圏面積は平均97.7±53.9ha(±SD、N=4)となった.これは、関東以西の本種の行動圏面積の報告と比較して、あまり差のない値となった。また、本種の行動域および採食場所は季節変化にともない、林縁とその周辺の水田を主とした農耕地から樹林地内へと徐々に移行していった。 雛へ給餌された食物動物は6月下旬まで、カエル類、モグラ・ネズミ類、ヘビ類、ニホンカナヘビで構成された。6月20日に初めてヤママユガ科の幼虫が確認され、7月に入るとセミ類幼虫や成虫、バッタ目キリギリス科の成虫が確認されるようになり、樹林性と考えられる食物動物の割合が65%以上を占めるまでとなった。 採食動物の種別の1匹あたりの湿重量と乾重量を算出した結果、ヘビ類の乾燥重量が107.3±32.13g/匹(±SD)と非常に大きく、次に乾重量が大きいネズミ・モグラ類の約20倍の重さとなった。この食物動物の湿重量と乾重量の平均値と終日調査の結果を用いて、雛鳥1羽ごとの、1日あたりの食物重量を試算したところ、湿重量で平均220.6±168.1g/羽/day(±SD)、乾重量で平均96.7±95.5g/羽/day(±SD)であった。雛鳥は平均32.0±5.1日(±SD)で巣立ったとことが観察されており、孵化から巣立ちまでの32日間の雛鳥の食物摂取量は湿重量で平均7059.8g/羽/32days、乾重量で3093.3g/羽g/羽/32daysと試算された。
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Research Products
(4 results)