2009 Fiscal Year Annual Research Report
希少猛禽類の保全を意図した繁殖北限域におけるサシバの繁殖規定要因の解明
Project/Area Number |
19510231
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
東 淳樹 Iwate University, 農学部, 講師 (10322968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝田 智俊 岩手大学, 農学部, 教授 (10089930)
百瀬 浩 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究, サブチーム長 (30250020)
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Keywords | サシバ / 繁殖北限 / 行動圏 / ハビタット・モデル / 給餌動物 / 繁殖制限要因 / 食物摂取量 / 岩手 |
Research Abstract |
本年度も継続して,繁殖の成否や成績にとって重要となる本種の育雛期の食物動物について明らかにし,また,その季節的消長との関係性を検討した。 岩手県花巻市において,2007年に本種の営巣をあらかじめ確認した営巣木の巣の上約80cmの幹に2008年の渡来前に小型CCDカメラを設置し,2008年4月10日から6月30日までの81日間,毎日午前4時から午後7時までの15時間ビデオ録画を行なった。その後ビデオ解析を行ない,親鳥の入出巣時間や運搬物の有無とその内容,雛への給餌回数などを詳細に記録した。また,上記の調査と並行し,本種の繁殖地において食物動物の季節的消長について調査した。これまでの調査で食物動物のうち給餌回数や食物資源量で比較的高い割合を示したトウキョウダルマガエル,アオガエル科,ヘビ類,ニホンカナヘビを対象に生息数調査を行なった。アオガエル科については2009年4月中旬から7月下旬にかけて,それ以外は2008年4月中旬から7月下旬(大島 2009)に調査を実施した。 その結果,アオガエル科とヘビ類に関してはそれらの給餌割合は季節的消長と同調し,その間に関係性がみられた。トウキョウダルマガエルについては,その生息数の変動に関わらず,季節の進行とともに給餌割合が減少する傾向がみられた。これは,本種の主要な生息地である水田において,稲の成長に伴う植生密度の上昇による狩場としての機能の低下との関係性が示唆された。ニホンカナヘビについては,その季節的消長に関わらずほぼ一定の割合で給餌された。 以上のことから,本種の給餌割合は両生爬虫類が高いこと,給餌割合と食物動物の季節的消長との関係性は,食物動物の種,または分類群によって異なることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)