2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510237
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津田 みどり Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (20294910)
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Keywords | 植物 / 昆虫 / 物能学 / 多様性 / 進化 / 種子発芽 / マメ / マメゾウムシ |
Research Abstract |
本年度は、ハンガリー産Bruchus属マメゾウムシが種子捕食するFabeae亜連のマメ22種の分子系統樹を、研究代表者が塩基配列決定したITS1, trnL, matK領域(計4,057bp)に基づきベイズ法によって推定した。Lathyrus・Pisum属、Vicia属はそれぞれ別のクレードを作ることが確認され、さらにVicia属は2つのクレード(亜属)に分岐した。マメゾウムシと共生的関係にある(捕食が種子発芽を促進する)ことが判明したマメ2種は、これらVicia属の2クレードに配置された。一方、共生的マメゾウムシ2種は、研究代表者らが推定した分子系統樹(Kergoat et al. 2007)において3クレードのうち2つにそれぞれ配置された。本研究課題で得たデータを総合すると、植物と植食者(種子捕食者)が共生的か否かを左右する要因は、1年生/多年生、種子サイズ・硬さ・数、虫サイズ、祖先形質のどれでもなく、種子捕食者の種数が1種(スペシャリスト/ジェネラリストには非依存)の場合だった。最も共生的だったマメ-マメゾウムシ1組については、無傷種子の発芽は不可能で、種子あたりの産下卵密度が1.8卵と最も高く、また他のマメ種との同所確率が最も低かった。この東欧産Vicia種は、共生者の発芽援助や競争種の少ない環境が生息に必然であり、このような生息地の保全(在来種からなる森林の林縁部)が種の維持に必須であることを解明できた。
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Research Products
(9 results)