2008 Fiscal Year Annual Research Report
出羽山形の地域特性の歴史的展開に関する基礎的研究-山形地域史の再構築-
Project/Area Number |
19510244
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
岩田 浩太郎 Yamagata University, 人文学部, 教授 (30184881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 仁 山形大学, 人文学部, 教授 (50125762)
松尾 剛次 山形大学, 教授, 人文学部 (30143077)
三上 喜孝 山形大学, 人文学部, 准教授 (10331290)
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Keywords | 日本史 / 地域史 / 奥羽 / 墨書土器 / 口承文芸 / 修験 / 商人 / 文殊菩薩 |
Research Abstract |
平成20年度交付申請書に記したように、「B山形地域詩性研究」を実施した。具体的な分担研究の成果は、以下の通りである。 1) 出羽内陸発展・交流論(担当 : 三上喜孝を中心に)山形県内の9世紀の集落遺跡(南陽市加藤屋敷遺跡、同市百刈田遺跡、鶴岡市行司免遺跡、同市興屋川原遺跡)から出土した墨書土器100余点を調査し、9世紀の地方社会における集落の性格と文字の使用の意味について考察した。また、酒田市亀ヶ崎城出土木簡の調査、検討を行い、16世紀末における当該地域の地域間交流の実態を考察した。 (2) 地域自己認識論(担当 : 菊地仁を中心に)民間説話や在地伝説など、主に山形県北部における口頭伝承を素材として、地域の自己認識の系譜を探るべく、『明光寺盛衰記』や『新庄古老覚書』の基礎的な調査研究を行なった。また、その関連で、山形県における口承文芸の特徴的なあり方を示す一事例として、<花咲爺>の話型を通時的ならびに共時的な観点から分析した。 (3) 奥羽宗教信仰圏論(担当 : 松尾剛次を中心に)羽黒山と山形城下の宝光院のに注目して、奥羽の宗教実態について分析を試みた。羽黒山に関しては、妻帯している修験者の筆頭である真田玉蔵房家の文書(800点程)を調査し、仮文書目録の作成と文書の写真撮影の作業を完了した。宝光院については、宝光院で「発見」した文殊騎獅像の修復を行い、それを踏まえて宗教史的な分析を行った。 (4) 「奥羽の商都」論(担当 : 岩田浩太郎を中心に)山形城下町商人および村山郡豪農商の広域的な商業金融活動に関する実証研究を進めた。とくに、奥州村田、出羽秋田・横手、武州上尾などの紅花産地に対する山形商人の取引実態、越後村上の漆商人と村山豪農の金融関係などに関する古文書調査を進めた。また関連研究として、紅花生産地帯の農業構造の分析を河北町谷地を事例に実施した。 その他、文殊菩薩騎獅刺繍像に関する公開学術シンポジウムを開催した。公開研究会を5回実施した。2年間の成果を『山形大学大学院紀要』第6号(2009年8月刊)に特集(論文4本)で公表する。
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