2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510245
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷垣 真理子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50227211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩出 浩和 城西国際大学, 留学生別科, 助教 (60235497)
容 應萸 亜細亜大学, 経営学部, 教授 (20230849)
林 少陽 東京大学, 教養学部, 准教授 (20376578)
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Keywords | 華南 / 香港 / 一体化 / 拡大華南経済圏 / 台湾 / 日本 / 相互作用 / 華人 |
Research Abstract |
華南社会は、日本で認識されている以上に、近代中国において大きな影響力を有してきた。また、華南地域は行政的枠組みを超えた人・モノ・金の交流が1980年代半ば以降急速に拡大してきた。本プロジェクトでは華南地域社会の一大センターである香港・マカオに視座をすえ、香港・マカオと華南地域との一体化のプロセス、および香港・マカオと華南地域の一体化の具体的な事例について明らかにした。現代中国に関する研究は質的にも量的にも拡充の方向を続けているが、華南地域に関しては台湾は台湾、香港は香港で理解され、同地域を有機的な地域社会として把握しようとする観点はまだ少ない。本プロジェクトは華南地域を単体的な単純和ではなく、地域的な文脈のなかで有機的にとらえようとした点に特徴がある。このため、本プロジェクトでは香港・マカオだけでなく、台湾を視野に入れることで、中国大陸でのみ完結する華南地域論ではなく、海峡を跨ぎ、さらには目本にも延伸していく可能性を有する華南社会論を提起することを目指した。 2007年度と同様に、現地調査前に事前打ち合わせを行ったほか、2008年7月に和仁廉夫氏(香港軍政史研究家)と日野みどり氏(金城学院大学)を講師として招き、軍政期の香港についての研究会を開催し、台湾を媒介とした華南地域と日本との関係性を確認した。また、2009年3月に厘門大学の南洋研究院から庄国土院長と塵大珂教授を招聘し、中国における華僑華人研究の現状と最前線の研究を紹介してもらい、今後の研究協力の可能性について意見交換した。 なお、150ページ強の成果報告書には2年間の問の2回の講演会、2回の研究会の概要と資料のほかに、「香港と中国内地との一体化」(谷垣)、「特律するマカオ」(塩出)、「日本・香港コンテンツ産業協力の可能性」(容)、「香港・上海・東京を結ぶ文化人コミュニティー」(林)、「鉱山開発に見る客家ネットワーク」(飯島)などがおさめられている。
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Research Products
(13 results)