2007 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアにおける白人性の歴史的形成と世界構造
Project/Area Number |
19510249
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤川 隆男 Osaka University, 文学研究科, 教授 (70199305)
|
Keywords | 白人性 / オーストラリア / ジェンダー / 連邦運動 / ホワイトネス / 人種理論 / 国民 / データベース |
Research Abstract |
(1)当初の予定通り、白人性に関連する文献の収集を行った。ただし、その文献は、個別的な白人や白人性を問題とするものを中心とするのではなく、理論的な突破口を開くような文献を中心に主に収集した。これは当初の計画とは異なっている。その理由は、[白人性」という概念自体に問題点を感じ、新たな方向性を探る必要を痛切に感じたからである。年度の後半は、主に理論的な問題の検討に多くの時間を費やした。 (2)連邦運動に関しては、ジェンダーの視点からの分析を進めた。その際、ニューサウスウェールズ大学の連邦運動に関するデータベースを利用した。これに関しては、明石書店のジェンダー叢書の一章として出版を予定している。 (3)2007年の8-9月にオーストラリアでの調査を行った。アイルランド系女性について十分な調査は行えなかったが、オーストラリア国立大学での文献の収集はある程度進んだ。 (4)ホームページの開設は、作成の担当を依頼する予定であった学生が、諸般の事情により退学したために、延期することになった。 (5)英文の論文を『パブリック・ヒストリー」で公表した。 以上は、当初予定していた研究計画の達成状況である。これに加えて、 (6)来年6月に開催されるオーストラリア学会の全国大会における、私が主催する白人性に関するシンポジウムの開催の準備を行った。 上記のように19年度当初の研究実施計画に従って、(4)を除いて研究を行った。4年計画の1年目としては順調な進行であった。準備段階としては、すでに成果を英文で発表するなど、成果は形として現れている。学会からの要請で、シンポジウムを早期に開催することになったこと、それと部分的に関連して、理論的問題の定式化により大きな時間を費やす必要が生まれていることは、今後の研究計画に修正をもたらす要因になると思われるが、この点については今後の課題としたい。
|