2009 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリアにおける白人性の歴史的形成と世界構造
Project/Area Number |
19510249
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤川 隆男 Osaka University, 大学院・文学研究科, 教授 (70199305)
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Keywords | オーストラリア / 白人性 / スポーツ / 移民制限 / 白豪主義 / ホワイトネス / 人種主義 / 記憶 |
Research Abstract |
今年度は大きく分けて5項目の課題を掲げて研究に取り組んだが、それぞれの研究の達成状況は以下の通りである。 (1) 白人性の問題の検討にあたり、人類というカテゴリーの成立とそのサブカテゴリーとしての人種概念の確立、さらにそれと啓蒙主義的人間観の成立の関連性について分析した。 (2) 昨年度報告を行った白人性とスポーツの関連を分析し、原稿にまとめた。 (3) オーストラリアにおける白人性の問題を比較史的観点から分析するために、アメリカにおけるアイデンティティ管理の問題を検討した。これに関連して、『パスポートの発明』の著者で、身分証明書とアイデンティティの問題に関して独創的な理論を展開しているジョン・トーピーをニューヨークに尋ねて、意見を聞いた。 (4) 歴中戦争に関する文献調査を行った。 (5) 白人性に関するホームページの作成を開始した。平成22年6月に公開を予定している。 今年度は、成果の刊行は行わなかったが、最終年度に向けて、著書1冊を書き終えて、出版社と出版の交渉に入っており、さらに論文2本が校正の段階にある。論文は来年度に刊行され、著書も来年度中に出版の予定が決まると予想される。 準備中の研究成果は、当初の研究計画と比べれば、オーストラリアにおける具体例の検証というよりも、理論的な枠組みの再検討に比重を置いている。また、それに付随して、分析対象もオーストラリアだけでなく、ヨーロッパやアメリカなどの地域にも及んでいる点に特徴がある。
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