2008 Fiscal Year Annual Research Report
タイの地域医療・福祉におけるソーシャル・ガバナンスの形成
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19510250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河森 正人 Osaka University, 人間科学研究科, 教授 (50324869)
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Keywords | 社会保障 / 社会福祉 / 医療保障 / 東南アジア / タイ |
Research Abstract |
前年度に実施した現地調査等の結果を整理し、論文および学会発表を通じて以下のような知見を公表した。 本研究は、「30バーツ医療制度」の核心である、郡の下に位置するタムボン・レベルにおける地域医療・福祉サービスの改革を、上位階梯の一般医療サービス(郡レベル)との連関性を念頭に置きつつ明らかにすることを目的とするが、調査の結果、地域保健医療行財政の二元化を挺子とした、コミュニティ病院による保健所の「統制」、および国民健康保障事務局本部によるサービスの総量・内容に関する「統制」のメカニズムが存在することが明らかになった。 さらに、国民医療費抑制とも一脈通じる、疾病予防・健康増進運動ないしヘルス・プロモーション運動の持続性確保という要請からくる「分権」、つまり「自治」ないし「参加」的側面が存在することを明らかにした。具体的には、これを制度化する「タムボン健康基金」の機能を検討した。その結果、タムボン内部における第一次予防(成人・高齢者向け)と第三次予防については、財政面における「マッチング・ファンド」、およびサービス供給面における住民「参加」ないし「自治」というかたちで、国民健康保障事務局が自治体・住民に応分の負担を求めていることが明らかになった。 これらの知見は、人口の高齢化が進行する東南アジアの社会保障の今後を考察するうえで、一定の示唆を与えるものである。
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Research Products
(4 results)