2008 Fiscal Year Annual Research Report
タイ農村女性グループの社会経済的発展における役割と意義
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19510258
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
江藤 双恵 Dokkyo University, 全学共通カリキュラム, 非常勤講師 (50376828)
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Keywords | タイ / 農村開発 / 女性グループ / ジェンダー / 開発とジェンダー / 地域開発 / 女性の役割 / 「一村一品運動」 |
Research Abstract |
タイの農村女性グループは、組織面での特徴別に「官僚組織型」と「起業・企業型」に大分でき、活動の意義については、1、出身村を離れずに自由な時間帯で収入を獲得、2、相互扶助の場をつくる、3、伝統的技能の復興・維持、4、地域産業の活性化、5、女性の政治参加促進、6、女性の自己実現という6項目が見出された。さらに、1、リーダーの負担が大きいこと、2、地方の普及員、NGOsなど外部への依存が大きいこと、3、現地調達材料を活かしていないことが課題として挙げられる。 また、農村女性グループの活動を活発化させる要因には、特に女性たちの間に、現金の需要に関する認識の高まりがある。子どもの教育費、消費財の購入欲求が需要を作り出す主たる要因である。他に現金需要を満たす手段がある場合、つまり工場などの就業先がある場合にもグループ活動が活発化している。したがって市街地へのアクセスが容易であることもグループ活動を促進する条件となる。逆に山間部にあって市街地との移動が不便で、食糧自給度の高い少数民族の居住地では、工芸品などの生産物があっても販売を組織化する動きは低調であった。また、宗教団体が支援する事例として、行き過ぎた消費主義の抑制(充足経済)を理念とする活動も見られた。 農村女性グループの活動には、グループの存在する地域の政治的、社会的な状況がグループの活動に深く影響を与えている。村長、村議会議員など地域内部の有力者やその家族、国会議員など外部の有力者やその家族などが活動に影響を与えている事例は少なくない。
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