2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510261
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Research Institution | Graduate School of Film Producing |
Principal Investigator |
西 周成 Graduate School of Film Producing, 映画プロデュース研究科, 准教授 (60440426)
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Keywords | 映画 / ロシア / ペレストロイカ / 映画文化 / 映画産業 / 映画学 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成19年度は、1980年代のロシア映画に関する資料の分析と新たな資料収集の準備を春に行い、7月後半から8月前半にかけてロンドン国際大学付属スラブ・東欧研究所(SSEES)のヴィデオ・ライヴラリーにおける映画作品鑑賞とモスクワでの資料収集を行なった。この一連の作業により、ペレストロイカ直前までのソ連時代における映画文化のあり方が、当時の映画作品、映画に関する言説、統計資料を通じて浮彫りにされた。良好な需給関係に支えられた産業としての安定性と、映画文化の全ての構成要素に観察された公式的・非公式的な部分の同時存在及び相互作用とが、「停滞の時代」末期の映画文化の特徴であったことが判明した。それに続くペレストロイカ時代に関しては、SSEESのヴィデオ・ライヴラリーの映像資料と近年ロシアで刊行された七巻本の現代ロシア映画史、及び当時の主要な映画雑誌を参照しつつ、映画産業が急激な資本主義の導入により安定から崩壊へ向かうと同時に映画作品と観客との相互関係が激変していった過程を調査した。 19年秋以降の本文執筆に際しては、映画文化を映画作品、映画に関する言説、映画観客、映画教育、映画産業、映画政策の6つの構成要素からなる意味論的領域として再定義し、それぞれの構成要素がペレストロイカの前後でどう変化したか、また各構成要素内部における公式的・非公式的な諸部分の相互関係がどう変化したかに注目しつつ記述した。これにより、先行研究のほとんどに欠けていた複眼的かつ客観的な視点を示すことができたと思われる。
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Research Products
(1 results)