2008 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄周辺都市における社会変動と宗教的意識の変容に関する研究
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19510265
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
森田 真也 Chikushi Jogakuen University, 文学部, 准教授 (10412686)
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Keywords | 民俗学 / 文化人類学 / 沖縄地域研究 / 周辺都市 / 社会変動 / 宗教儀礼 / 司祭者 / シャーマニズム |
Research Abstract |
本研究は、沖縄における戦後の社会変動と宗教的意識の動態について、民俗学的視点から解明することを目的する。そのため、最南西部のいわば周辺都市である石垣市、及び八重山諸島を調査地として、村落祭祀と祭祀担当者の現状と動態について、政治・経済的変化、その影響とを合わせて考察していく。具体的には、現地でのフィールドワークをもとに、村落祭祀と女性司祭者に注目し、その役割・機能、輩出原理、就任過程などを、社会変動との関わりにおいて考察していく。 調査計画に基づき、前年度にひきつづき石垣市の四箇(新川、石垣、大川、登野城)と呼ばれる中心地において、豊年祭という村落祭祀の参与観察調査を行なった。2年目の調査であるため、前年のインタビューをもとに祭祀担当者の役割や移動がより明らかになった。あわせて、村落祭祀を担ってきたツカサや地域の郷土史研究家にインタビューを行なった。また、石垣市の市街地との比較のため、竹富島(竹富町)の村落祭祀である種子取祭の参与観察調査を行なった。ここでは、石垣市の「地域(各字)=御嶽祭祀集団」としての区分より、芸能の差異から表出する玻座間対仲筋という御嶽帰属集団を超えた地域的アイデンティティの方がより鮮明に浮き彫りになることがわかった。 八重山諸島の女性司祭者であるツカサのインタビュー調査、役割分析からは、(1)就任過程におけるシャーマン的資質の共通性、(2)就任後の共同体の祭祀の遂行の共通性、(3)就任後のシャーマン的な個人的祭祀の遂行に関する異同、(4)ツカサ同士の宗教的世界観の異同、の4点が明らかになった。とりわけ、(4)ないし(3)は石垣市の四箇、つまり地方都市部のツカサ間に顕著にみられる現象であった。 成果を公にするには2年間の研究期間は短かった。次年度、本研究に関する口頭発表、論文作成を行ないたい。
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