2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代エジプト議会の歴史的展開に関する研究-議会議事録を資料として
Project/Area Number |
19510266
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
池田 美佐子 Nagoya University of Commerce & Business, 外国語学部, 教授 (80321024)
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Keywords | エジプト / 議会 / 中東 / 地域研究 |
Research Abstract |
本研究は、近代エジプトにおける議会の歴史について議会議事録などの一次資料を用いて分析することを目的としている。本年度は研究の最終年となるため、議会資料の収集においては入手可能な資料のうち、未入手の資料の収集を行った。とくに議会法は議会の機能を把握するための有効な資料であるため、1866年議会から1952年以降の軍事政権期の議会までの議会法の資料の入手を完了し、翻訳に着手した。さらに、1923年憲法下の下院の議会機能について、当時の議会職員による詳細な解説書(Fu'ad Kamal, al-A'wad al-Barlamaniyya,1927)を発見し、これを入手できたことは大きな収穫であった。議会法の翻訳はエジプト議会の機能をより性格に把握する手段と考え、まずは1923年憲法下の議会法の翻訳に着手した。これは本研究の終了後も継続して行う。 議会資料を用いての議会活動分析は、資料の量が膨大なため予定より遅れ気味であるが、本年度は昨年度から継続しているイギリス占領期における議会分析を進めた。とくに在エジプトのイギリス総領事兼代表による年次報告書にはエジプト議会についての詳細な記述があり、それを資料として議会活動の展開を整理した。これによって30年にわたる占領期における議会の変貌が明らかとなった。占領期初期には議会が未経験のために活動が十分行われていなかったが、しだいに数々の議案において修正を提案し、活動を正常化させていった。1907年以降は、議会外での反英運動と連動して議会がイギリスの政策に対する批判活動を活発に展開していった。これによって占領期の議会活動の展開が把握できたため、これに引き続いて、重要な案件について議会議事録を資料として議会でのやり取りをさらに詳しく検証する作業を開始した。 この3年間では予定の研究結果を出すには至らなかったが、現地で入手できた資料をもとに現在進めている研究を続け、今後も引き続きその成果をまとめていきたい。
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Research Products
(1 results)