2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーで読む労働運動-近代化過程のドイツを中心に
Project/Area Number |
19510268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
姫岡 とし子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80206581)
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Keywords | 近代ドイツ / ジェンダー / 家族 / 労働運動 / ネイション |
Research Abstract |
本年席は、男性性を中心をするジェンダーの構築について、ネイション・ナショナリズムと関連させながら考察した。まず国民/ネイションとは何かについて詳しく検討した。従来、国民は主権者という枠組みで把握され、それゆえ女性は国民から排除されているいは国民形成と公私の形成が同時期に進み、女性がが私に割り当てられたため、公、すなわち国民から排除されているとみなきれてきた。しかし、最近のネイション・ナショナリズム研究では、国民/ネイションを他者と区別される、われわれの共同体とみなす捉え方が主流になり、それを受けてジェンダー研究でも、女性対しては排除よりその共同体に包括されているという側面が指摘されるようになった。ただし、ネイションへの男女の包括は同様かつ対等ではなく、ジェンダーに特有の領域があり、アイデンティティも異なっていた。近代ネイションにおける男性には戦うことが、女性には家庭を守り、子どもを産むことのの重要性が説かれ、19世紀が進むにつれて、そのますますこの点が強調されるようになった。当初、こうした理念の担い手は市民層に限定されていたが、徐々に下層にまで拡大した。この拡大の様相を考祭するため、艦隊協会や愛国婦人会など、いくつかの中道右派の団体に焦点を当てて、その活動を検討し、労働者をナショナルなプロジェクトに巻き込む努力と、そのなかで男性性・女性性が構築される過程について考祭した。
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Research Products
(2 results)