2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520011
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加地 大介 Saitama University, 教養学部, 教授 (50251145)
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Keywords | 実体主義 / 存在論 / 境界 / 傾向性 / 独立性 / 様相 |
Research Abstract |
論文「現代的実体主義の諸相」では、B.スミス、J.ホフマンとG.S.ローゼンクランツ(以下、H&Rと略称)、E,J.ロウという、現代の代表的実体主義者たちが、それぞれ特に実体の独立性をどのように特徴づけ、その結果どのような意味で実体を存在論的に重視しているのかを比較検討しながら、彼らの各主張について一定の評価を試みた。スミスは「境界占有性」、H&Rは「同種内独立性」、ロウは「本質独立性」をそれぞれ実体の独立性に関する中心的概念として位置付けていることを見出したうえで、H&Rによる実体の定義は、定義としての完成度は他の二者に比べて高いが、その中心概念である同種内独立性は必ずしも実体の基礎的性格を保証するものではないのに対し、スミスとロウはそれを実体の個別的独立性によって一定程度確保しているが、その独立性の内容的規定については、境界に基づく質料主導型と本質に基づく形相主導型という、アリストテレスの実体論の多義性に対応した対照性があることを指摘した。また、論文'Four Kinds of Boundary'において、二次元的境界が依存する実体的対象の個数と様相的性格に基づいて境界の存在状況を四種類に分類したうえで、境界そのものは本来的に有向性を持つことを主張した。 この他、オックスフォード大学で開催された国際学会'Powers: Their Grounding and Realization'に参加し、実体の存在論にとって重要な位置を占める傾向性をめぐる最新の研究動向に触れた。さらにその後、ダラム大学哲学科に滞在してロウに彼の実体主義的立場に関するインタビューを行い、特に時間、因果、本質に関連するロウの実体主義存在論における最近の進展内容を把握した。
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[Book] 環境のオントロジー2008
Author(s)
河野哲也,染谷昌義,齋藤暢人,三嶋博之,溝口理一郎,関博紀,倉田剛,加地大介,柏端達也
Total Pages
282
Publisher
春秋社