2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520011
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
加地 大介 Saitama University, 教養学部, 教授 (50251145)
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Keywords | 三値論理 / 部分論理 / 実体主義 / 物理主義 / 真理様相 / 実体論理 / 穴 / 存在論 |
Research Abstract |
雑誌Logic and Logical Philosophy(18-1)に掲載された論文'Bourne on Future Contingents and Three-valued Logic'では、実体の時間様相と関連する論理としてのウカシェーヴィチの三値論理への批判に基づきウカシェーヴィチとは異なる形で否定演算子を定義することによってボーンが構成した三値論理が、非単調的な否定演算子を基礎とした不分明な内包的論理になっているという点で、単調的な否定演算子を基礎として外延的論理としてのウカシェーヴィチの三値論理よりも劣っていると主張した。そのうえで、ウカシェーヴィチの三値論理が抱える問題点も指摘し、それを部分論理を基礎とする外延的な真理様相の論理として再構成した。 雑誌『思想』(No.1030)に掲載された論文「穴から覗き見る物理主義」では、アリストテレスの質料・形相論やD.ルイス夫妻、カサティ、ヴァルツィらによる穴の存在論を手がかりにしながら、穴という非物質的な実体的対象の存在に関して現代の物理主義者・自然主義者が示すと思われる肯定的・否定的態度の二面性について分析した結果、現行の物理主義・自然主義においては、必ずしもそれらの定義から論理的には帰結しない原子論的・因果論的ヒューム主義、質料主義という夾雑物が大きく支配しているのではないかという推測を導くとともに、能動理性、穴、素粒子、場などの極限的存在者における傾向性質の優位性を認定した。 以上の他、実体主義的な形式存在論の基礎となる時間的実体論理の体系TSLと種的実体論理の体系SSLの各々に関して、構文論と意味論を整備したうえで公理化を行った。
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