2008 Fiscal Year Annual Research Report
シティズンシップの教育と倫理(ケアと責任の再定義を軸として)
Project/Area Number |
19520015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川本 隆史 The University of Tokyo, 大学院・教育学研究科, 教授 (40137758)
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Keywords | 市民性 / 教育 / 倫理 / ケア / 責任 |
Research Abstract |
グローバル化の進展と併行して、EUにおいてヨーロッパ・カウンシルが「シティズンシップの教育」の提言を行っているのをはじめ、アメリカ、イギリス、フランスなど多数の国々の教育省や教育研究機関において「シティズンシップの教育」のカリキュラム開発のフレームワークに関する研究が展開され、実践的な指針の提案が行われている。「シティズンシップの教育」は21世紀の学校教育の中核的な課題になってしると言っても過言ではない。その背景には、グローバル化による政治・経済の急激な変動と、地球環境の危機、局地戦争と文化や宗教の衝突、移民の拡大、人種差別や性差別による人権の危機、貧富の拡大や青少年犯罪の急増、公共的モラルの崩壊など、民主主義社会の根幹にわたる危機が横たわっている。 本研究はこうした「シティズンシップの教育」の展開を踏まえつつ、シティズンシップの《倫理》を究明することをねらいとする。その際に新基軸とするのが、市民の権利・義務や「公民的資質」の議論1と終始しがちであったこれまで「シティズンシップの教育」の土俵を〈仲間の市民およびニーズを抱えている「見知らぬ他者」へのケアと責任〉にまで拡充するという作業である。 二年目にあたる平成20年度は、ケア、責任、教育といった一連のテーマを論究する『共生から』の公刊からスタートした。本書をめぐって複数の合評やコメントを頂戴している。次いで中央教育審議会小学校・中学校社会専門部会委員として関わった議論の一端を『中学社会通信』2008年秋号(教育出版)の小文にまとめるとともに、私立高校(神奈川県サレジオ学院)や県立高校(広島県安古市高校)において「社会・正義・ケア」をめぐって講演をするという貴重な機会も与えられた。以上の実績を踏まえ最終年度の研究態勢が十全に整ったものと思われる。
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Research Products
(5 results)