2007 Fiscal Year Annual Research Report
アリストテレスの基礎的語彙の受容過程およびその邦訳の再検討
Project/Area Number |
19520020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中畑 正志 Kyoto University, 大学院・文学研究科, 教授 (60192671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 勝利 京都大学, 大学院・文学研究科, 名誉教授 (80098102)
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Keywords | アリストテレス / 基礎概念 / ペリパトス派 / アンドロニコス / アリストテレス注解 / 訳語 |
Research Abstract |
本年度は、まず研究代表者の中畑と研究分担者の内山が、アリストテレスの哲学を支える基礎的語彙のなかで、これまでの概念的理解と邦語訳の双方について再検討を要するものを相互間の協議を通じて確認した。そのような語彙のなかには、「実体」(ousia)、「現実態」(energeia)、「可能態」(dynamis)、「質料」(hyle)などのきわめて重要な語彙が含まれる。これらの語彙については、より適切な邦語訳の考案や選定の作業も含めて、今後さらに検討を重ねる必要があるが、次年度の研究を通じて、明確な成果となるように努める予定である。それが具体化されるならば、アリストテレスについての従来の理解と翻訳が大きく更新されることが期待される。 さらに中畑は、アリストテレス哲学全体の性格について展望を与え、またアリストテレス哲学を継承したペリパトス派の哲学における受容と変容についても考察を進めた。さらに紀元前後のアリストテレス哲学の復興の歴史的プロセスについても、アンドロニコスの果たした役割の再検討や「注解」(コメンタリー)という研究スタイルの成立過程について具体的に跡づけることを通じて、アリストテレスの基礎的概念の受容史をたどるための基本的な視座を得るよう努めた。他方で内山は、プラトンの哲学及び西洋古代哲学の全体的な性格について説明を与えることによって、アリストテレス哲学が成立する背景となった思想的基盤についての理解を試みた。このような中畑と内山の研究成果の一部は、内山の責任編集によって中央公論新社から刊行された『哲学の歴史』第1巻および第2巻に収録されている。
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Research Products
(10 results)