2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラトン対話篇におけるミュートス(神話)の哲学的機能と意味をめぐる総合的研究
Project/Area Number |
19520034
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
中澤 務 Kansai University, 文学部, 准教授 (10241283)
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Keywords | 哲学 / 西洋古典 / プラトン / ミュートス / 神話 |
Research Abstract |
二年目にあたる今年度は、前年度からの継続となる、基礎的研究ならびに研究文献の収集・整理の作業を引き続き進めた。さらに高次のレベル2およびレベル3に関わる研究についても年度後半から、順次着手した。 平成20年度前半は、前年度の基礎的な研究の継続として、まず「宇宙論的ミュートス」に係わる主要な対話篇(『政治家』、『ティマイオス』、『クリティアス』)におけるミュートスの構造分析および、哲学的探求の中での役割について以下のような考察を行った。 1『政治家』:宇宙の周期と逆転を巡るミュートス(268d-274e)の詳細な構造分析、および対話の中心テーマ(政治家の定義)の議論の中でミュートスが果たす役割。2『ティマイオス』:この対話篇において全面的に展開される宇宙論の構造分析。また、この作品の中で、ミュートスとロゴスの関係がいかに把握され、それが実際の議論の中でどのように分析できるか。3『クリティアス』:アトランティス神話の分析。とりわけ、アトランティス神話が語られる意図について。 以上の基礎的研究の終了後、平成20年度後半では、以上のレベル1における研究の成果を生かしつつ、レベル2の研究(各テーマを巡る総合的研究)に移行した。平成20年度は、「終末論的ミュートス」のグループに的を絞り、このグループ特有の共通的問題について考察を加えていった。これにより、プラトンの魂理解の全体像や、その思想的影響関係についての考察が一段と深められた。
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Research Products
(3 results)