2009 Fiscal Year Annual Research Report
幸福の普遍性と共同善の超越性-トマス・アクィナスにおける人間論の展開-
Project/Area Number |
19520037
|
Research Institution | Kagoshima Immaculate Heart College |
Principal Investigator |
佐々木 亘 Kagoshima Immaculate Heart College, 生活学科, 教授 (40211940)
|
Keywords | 究極目的 / 共同善 / 共同体論 / 所有権論 / 他者 / 人間の超越性 / 自由の普遍性 / 正義の超越性 |
Research Abstract |
本研究は、三つの点を研究目的にしている。第一は、人間存在そのものの「超越性」から出発して「共同善への運動」という観点からトマスの共同体論が有する現代的な意義を明らかにすることによる神戸大学大学院経済学研究からの博士号取得と博士論文の出版、第二は、京都大学への博士論文に基づく拙著『トマス・アクィナスの人間論-個としての人間の超越性-』の英訳の実行、そして第三は、「トマス・アクィナスの幸福論研究」というさらなる博士論文の作成である。このうち、第一に関しては、幸いなことに平成20年度中に学位取得と出版を達成することができたが、21年度はさらにこの研究を第三の研究目的につなげるという仕方で展開させ、「ペルソナと自然法-トマス・アクィナスにおけるペルソナの多元性をめぐって-」と「経済主体の多元性-トマス・アクィナスにおける宗教的超越性-」という学会発表を行ない、それぞれ査読用の論文を提出した。また、同様の目的から、「幸福への問い-トマス・アクィナスの幸福論に関する一考察-」と「自然法とは何か-トマス・アクィナスの自然法論に関する一考察-」という二本の論文を作成した。第三の研究目的である新たな博士論文に関しては、「目に見えない共同体-トマス・アクィナスにおける幸福論研究-」という題で全体の構想は完了し,作成を始めているが、博士論文としての内容である以上、完成にはしばらく時間がかかると予想している。第二の英訳に関しては、本学英語科専任講師であるGlenn Forbesから全面的な協力を受けて進められているが、まだ完成には至っていない。22年度中の完成を目指して鋭意努力をしている。
|
Research Products
(4 results)