2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520043
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
鶴成 久章 Fukuoka University of Education, 教育学部, 教授 (20294845)
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Keywords | 永楽三大全 / 五経大全 / 周易 / 詩伝大全 / 春秋大全 / 科挙 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、前年度『四庫全書』本を用いて研究を行った『詩伝大全』と『春秋大全』について、国立国会図書館が所蔵する明内府刊本を用いて、前年度の研究の問題点を随時補正しながら改めて考察を行うこと、また、同じく内府刊本を用いて『周易伝義大全』と『書伝大全』の分析を新たに行うことであった。後者の具体的な研究内容は、『周易伝義大全』が、董楷撰『周易伝義附録』、董真卿撰『周易会通』、胡一桂撰『周易伝義附録纂疏』、胡柄文撰『周易本義通釈』といった四種の書物をどのようなかたちで集成しているのかという点についての考察、そして、『書伝大全』と陳櫟撰『尚書集伝纂疏』、陳師凱撰『書察伝傍通』の二書との関係についての考察を行うことであった。 『詩伝大全』『春秋大全』、及び『周易伝義大全』については、ほぼ当初の計画通り、分析作業を行うことができたが、『書伝大全』については、作業が途中までしか行えなかった。しかしながら、『礼記大全』も含めて「五経大全」の全てにつき、国会図書館蔵本の複写を入手し、粗々ながら内容を確認することができた。また、本年度の末には、直接国会図書館に行き、刊本の文献調査も行った。 本年度に得られた主な知見については、データを十分なかたちでまとめきれず、直接的なかたちで公開するには到らなかったが、来年度には大学の紀要にその概要を発表する予定である。なお、本研究の主たる目的は「永楽三大全」の内容の考察であるが、それだけには止まらず、明永楽年間以降の中国はもとより東アジア儒教文化圏の学術・思想の特質に関わる諸問題にも必要に応じて随時研究を広げることを目指している。本年度は、その一環として、「永楽三大全」の解釈に準拠することが求められた明代の科挙試験の揚に、「三大全」の学説を逸脱する内容の制義の答案を書いた楊起元という人物の思想について詳細な考察を行い、学会において報告を行った(「明代科挙と陽明学--楊起元の制義を中心に--」)。
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