2010 Fiscal Year Annual Research Report
『中観明句論註釈』の文献学的研究によるインド・チベット中観仏教思想史の再構築
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19520049
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉水 千鶴子 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (10361297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 秀範 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (90225839)
小野 基 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (00272120)
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Keywords | 中観思想 / 明句論 / 大乗仏教思想 / 仏教論理学 / チベット仏教 / 帰謬論証 / 自立論証 / 主張命題 |
Research Abstract |
平成22年度の研究成果として、研究代表者は研究分担者・研究協力者の協力を得て、次の作業を行ない、それぞれで得た知見を研究成果として学会あるいは雑誌論文で発表した。 1)シャン・タンサクパ著『中観明句論註釈』第1章1~24フォリオの写本校訂テキストの出版準備(2011年度出版予定)。 2)シャン・タンサクパによる中観派の主張命題の有無の議論の解明。 シャン・タンサクパによれば、中観派は仏教論理学派が定義する「論者自身が認めた内容を証明するための主張命題」を立てることはないが、対論者の認める内容を仮に用いた「主張命題」あるいは帰謬論証の「主張命題」を用いることはできる。こうしたシャン独自の解釈を明らかにし、その成果を発表した。 3)同書が註釈するチャンドラキールティ作『明句論』における論理学受容の解明。 チャンドラキールティは先行するディグナーガの論理学に批判的であったと評価されてきたが、その議論を丁寧に解読すると、ディグナーガによる他者に学説を理解させるための論理の提示方法と帰謬論証の方法を受容し、利用していると考えられる。研究代表者は、この問題を具体的に論じ、学会に再考を促した。 4)チベットの宗義書であるトゥカン著『一切宗義』「カダム派の章」の翻訳研究(東洋文庫より出版)。 シャンを含むチベットカダム派の歴史と教義を説いた後代のトゥカンの宗義書研究を行なった。
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Research Products
(5 results)