2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520052
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡野 潔 Kyushu University, 大学院・人文科学研究院, 教授 (80221844)
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Keywords | MahAsaMvartanIkathA / 大いなる帰滅の物語 / BodhisattvAvadAnakalpalatA / DazakarmaplutyavadAna / KSemendra / SubhASitamahAratnAvadAnamAlA / LokapaJJatti / AnavataptagAthA |
Research Abstract |
本研究課題は4年間で次の三つのテキストの研究を並行して行うことを目的とする。(1)『大いなる帰滅の物語』(MSK)の日本語への翻訳と注を完成させる。(2)『菩薩の過去世物語の如意の蔓草』(BAKL)の校訂と翻訳を行う。(3)『善説の偉大な宝の過去世物語の花髪』(SMRAM)の校訂と翻訳を行う。 初年度の平成19年度は、研究計画どおりに研究・発表がなされた。それは次のとおりである。上記(1)に関して:『大いなる帰滅の物語』の第4章第2節〜第4節を翻訳し、詳細な注をつけ、さらにパーリ文『ローカパンニャッティ』の、それに対応する部分を翻訳した。これは『哲学年報』67輯(平成20年3月発行)に発表された。正量部はまもなく世界が滅びの日を迎えると信じ、三種のカタストロフ(小三災)の到来を重視する終末観をもっていたが、その「劫末」の終末観の具体的な記述の箇所がこの論文によって翻訳された。-上記(2)に関して:『菩薩の過去世物語の如意の蔓草』の第50章『十の業の連繋』の校訂ならびに翻訳を行い、『南アジア古典学』第2号に発表した。梵文と蔵文の厳密な校訂と正確な翻訳が初めてこの第50章に対して行われた。またこの第50章の内容研究として、アナヴァタプタ・ガーターというテキストを中心に有部やパーリ上座部などの部派の伝承における仏陀の業の残滓の問題を論じた論文を印度学宗教学会『論集』第33号に発表した(この33号は発行日が2006年12月31日になっているが、実際には2007年8月に発行された)。-上記(3)に関して:『善説の偉大な宝の過去世物語の花髪』の第23章ヤショーミトラの校訂作業を終えた。この23章に関しては、関連する並行文献として、『菩薩の過去世物語の如意の蔓草』の第94章ヤショーミトラ・アヴァダーナがあり、現在私はそのテキストの校訂を行っているところなので、それらの二つの校訂テキストを一緒にまとめて、2009年度の『南アジア古典学』第4号に掲載することになった。
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Research Products
(3 results)