2007 Fiscal Year Annual Research Report
慧均『大乗四論玄義記』に基づく中国南朝仏教学の再構築
Project/Area Number |
19520055
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
菅野 博史 Soka University, 文学部, 教授 (50204805)
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Keywords | 『大乗四論玄義記』 / 慧均 / 感応思想 / 仏性 / 『法華文句』 / 道生 / 僧亮 |
Research Abstract |
1.『大乗四論玄義記』の著者、慧均は韓国の仏教僧で、同書は韓国で執筆された書物であるという新しい学説が韓国の学者によって発表された。これは注目すべき研究であり、今後真剣に検討しなくてはならないと思っている。ただし、19年度は、『大乗四論玄義記』の基礎的な文献学的研究のために、京都大学と龍谷大学に所蔵されている『大乗四論玄義記』の写本を入手し、さらに、『大乗四論玄義記』「感応義」・「仏性義」の章の訓読訳を作成した。引き続き、訓読訳の作成を継続してゆきたい。 2.中国南朝仏教の「機と感応」思想について、最初期の例として道生と僧亮を取り上げ研究し、その成果として英語論文を執筆した(近刊)。『大乗四論玄義記』にも「感応義」があるように、中国仏教の救済論の一つが感応思想であり、当時盛んに議論されたものなので、この研究を拡大発展させたい。 3.中国南朝の法華教学の代表的な成果の一つである智〓・灌頂『法華文句』の訳注研究を進め、第一冊を刊行した。『法華文句』には、当時、および前代の法華教学の成果が反映されているので、中国南朝仏教学の再構築という本研究テーマに大いに関係していると思う。 4.「中国南朝仏教学の再構築」を遂行するため、南朝の都であった建康(現在の南京)の仏教寺院の実地調査(霊谷寺[旧名:開善寺]、棲霞寺、鶏鳴寺[旧名:同泰寺])と、南京在住の仏教学者(董群東南大学教授、頼永海南京大学教授、肖永明金陵刻経処研究員、呂建福金陵刻経処研究員)との学術交流をはかり、研究課題についての指導を受けた(2007.8.27-31)。
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