2007 Fiscal Year Annual Research Report
日常性の宗教学:-地方都市における幸福の探求をめぐる調査研究
Project/Area Number |
19520060
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
關 一敏 Kyushu University, 人間環境学研究院, 教授 (50179321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重信 幸彦 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (70254612)
飯嶋 秀治 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60452728)
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Keywords | 日常性 / ふたつの幸福 / 生きがい / 都会の民俗 / 福岡市 |
Research Abstract |
本プロジェクトは「日常性」と「幸福」を両軸とし、地方都市・福岡の生活世界を対象とする。初年度は、(1)関連分野の専門家ゲストをふくむ2回の全体研究会と数度の研究連絡のほか、(2)研究協力者を含む数次のフィールド調査をおこなった。うち(1)においては、幸福の諸類型とハビトゥス=そなえの民俗(關)、夜の創出と都市形成史(重信)、マチバ博多の生の技法(ゲスト・福間)、後背地と日常性の構築(ゲスト・阿部)等の討議をかさね、都会的な場とその日常性の構築から都会における幸福のあり方へと研究展望の深化を図った。(2)においては、仕事をめぐる技術と生きる技法について、職人・料理人の生活世界(關)、マチバの界隈の形成史(重信)、百貨店と町の歴史(飯嶋)、繁華街の形成史(協力者・有薗)、労働移民と受容母体(内藤)等の聞き書き・資料収集をすすめた。 これをとおして初年度は次の知見と課題を得た。1)理論的展望においては「幸福」に、調査資料の集積にあっては「日常性」に比重が傾くこと。2)都会における「時間」の重層的複数性。うち1)は調査における幸福・生きがいの析出方法の困難さにかかわり、これは当初から予想された点として次年度の大きな課題である。2)は記憶と現実世界の双方における生き方の複数性にかかわる。ライフヒストリーの累積から浮かびあがるのは、個人の資質や仕事の技法にくわえて、変化の速度を競う時代にあってなお、あえて時間をゆるやかに減速する生き方がたしかにあり、それが「長い時間」のハビトゥス=そなえとしてマチバに生きる幸福の重要な支えとしてはたらくことである。
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Research Products
(5 results)