2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
A Study of Oaths in the Ancient Western Asia Using Akkadian Sources
Project/Area Number |
19520068
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Religious studies
|
Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
IWATA Kazuko (渡辺 和子) Toyo Eiwa University, 人間科学部, 教授 (00223397)
|
Project Period (FY) |
2007 – 2010
|
Keywords | 誓い / 古代オリエント / アッカド語 / 誓約 / アッシリア |
Research Abstract |
紀元前3000年ころ成立した最古の文明の一つとされるメソポタミア文明は発達した文字体系をもち、さまざまな行政経済文書、法的文書が粘土板に書かれ、当事者および証人たちによって押印された。文書は楔形文字でシュメール語(系統不明)やアッカド語(最古のセム系言語)で書かれ、粘土が乾燥する前に円筒印章を押し当てて転がすことによって押印された。契約内容が重大になるほど神々の前での誓いが重視され、誓約や証言が奨励された。内容が政治的な「国際条約」とみなされるものであっても、それを拘束するのは、当事者による神々の(像の)前での誓い(誓約)であり、違反したときに当事者の身に及ぶ神々による罰(呪い)である。このように誓いは、メソポタミアにおいても常に法的領域と宗教的領域の中間に位置し、また様々な形態をもっていた。 報告者は学位論文『エサルハドンによる王位継承の定めについてのアデー誓約』(Dieade-Vereidigung anlasslich der Thronfolge-regelung Asarhaddons, Berlin 1987)において紀元前672年に書かれた「誓約文書」の研究と再編纂を行った。この文書は古代オリエントの誓約文書の中では最大であり、また最後期に属するものである。この文書は1955年に出土し、ワイズマンが「エサルハドン宗主権条約」(D.J.Wiseman, The Vassal-Treaties of Esarhaddon, Iraq 20, 1958)として発表して以来、この名で知られていたが、実際にはアッシリア王エサルハドン(在位前680-669年)が息子の一人であるアッシュルバニパル(在位前668-627年)にアッシリア王位を、他の息子シャマシュ・シュム・ウキンにバビロニアの王位を継がせるという決定を内外の要人に遵守させるために発行された誓約文書であること、アッシリアの最高神であるアッシュルが調印するという形をとっていることなどを明らかにした(渡辺和子「古代オリエントの誓約と神の印章」脇本平也・柳川啓一編『現代宗教学4権威の構築と破壊』東京大学出版会1992年,85-114頁)。 本研究では、さらに研究史の再考、誓いの表現と誓いの儀礼の研究、「祝福と呪い」の表現の比較研究、『エサルハドン誓約文書』の再検討と邦訳公刊などを目指す。
|
Research Products
(7 results)