2007 Fiscal Year Annual Research Report
コペ・グループの思想史的研究:独仏交流による19世紀思想史
Project/Area Number |
19520075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安藤 隆穂 Nagoya University, 経済学研究科, 教授 (00126830)
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Keywords | 自由主義 / 思想史 / 公共性 / コペ・グループ / ロマン主義 / ナポレオン帝政 |
Research Abstract |
19世紀大陸における自由主義の成立と展開というコンテクストにおけるコペ・グループの位置を確定するために、本年度は、中心的存在をなした二人の思想家、スタール夫人とコンスタンにおける自由主義の成立とその思想構造を分析することを目的とした。ナポレオン帝政期に、両者、それぞれが影響しあいながら書いた、自由主義の誕生を告げる諸文献を、分析解読した。 コンスタンについては、1802年から1806年に書かれた『大国における共和政体の可能性についての放棄された断章』と『政治の諸原理』を、スタール夫人については、1798年執筆の『革命を終結させうる現在に状況とフランスでの基礎となるべき諸原理について』を中心に分析した。いずれも、文献整理が近年急速に進行中であって、文献考証にも、現地調査を含め、慎重にあたる必要があるものである。まず現在「バンジャマン・コンスタン協会」協会の研究者を主力に刊行中の最新『コンスタン全集』をもとに、文献考証的問題について整理したが、現地調査計画準備に手間取ったので、本年度は、国内の研究機関での調査にとどめざるを得なかった。しかし、副産物として、日本での研究史について新しい視野が開かれてきたので、次年度以降の研究に組み込みたい。また、コンスタンとスタール夫人の思想の先行争いについて、予想以上の紆余曲折が明らかにできるように思う。これも次年度に整理していきたい。スタール夫人については、ネッケルからの影響について、予想以上に重大であることがわかったこともあり、十分に予定を消化できなかったが、研究計画の大筋は、訂正する必要はなく、次年度の研究を予定通り行う中で、埋め合わせを期したい。
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