2009 Fiscal Year Annual Research Report
暴力の記憶と反ネオリベラリズム--南米におけるアフェクトの政治
Project/Area Number |
19520084
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
林 みどり Rikkyo University, 文学部, 教授 (70318658)
|
Keywords | 生政治 / 記憶 / 思想史 / 記念碑 / 暴力 / ラテンアメリカ |
Research Abstract |
1.8月末から9月初旬にかけて、軍政下の人権侵害に加担した軍・警察への恩赦法を無効にするための法律制定をめぐって10月に国民投票が行われる予定のウルグアイを視察。現地のメディア関係者や人権活動家へのインタビューを行い、アルゼンチンとの差異に関してきわめて有意義な意見交換を行うことができた。また、アルゼンチンでは長年にわたって議論されてきた「記憶の場」の博物館化について、現地の2つの「博物館」を訪れ、表象戦略をめぐる問題点を調査することができたと同時に、現地の中高等学校のフィールドワークとの連携など、きわめて新しい活動が展開されている現状に関する知見を得た。 2.3年間の研究成果を、学会や一般公開向けのシンポジウムやセミナーで報告することにより、研究によって得た知見の公開を行った。(1)日本ラテンアメリカ学会(於:東京外国語大学・6/7)第30回定期大会シンポジウム「ラテンアメリカにおける民主主義と社会運動」で、「アルゼンチン人権運動におけるジェンダーの機能」と題し、民主化以後の人権運動において「母」表象の戦略がいかに社会運動の言説において機能させられ、現政権との政治的関係性に影響を及ぼしているかを報告した。(2)立教大学「平和・コミュニティ機構」のセミナー(於:立教大学・11/17)では、「記憶の文化政治-南米アルゼンチンの場合」と題し、前年と本年度の現地調査をもとに、暴力の記憶がいかに継承されようとしできたか、またそこにどのような問題があるかについて報告を行った。(3)立教大学「ジェンダー・フォーラム」のジェンダーセッション(於:立教大学・12/10)において、「親密圏の政治について考えてみませんか?」と題して、「五月広場の母たち」と親密圏の問題について報告し興味深い議論を得ることができた。(4)立教大学「平和・コミュニティ機構」のシンポジウム(於:立教大学・1/21)「記憶と和解」で、「和解・人権・記憶-アルゼンチンの民主化過程を事例に」と題し、TVやインターネットメディアにおける人権言説の広がりと人権運動の活発化の関係性、メディア表象の問題点を報告し、貴重な議論を行うことができた。
|
Research Products
(1 results)