2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520093
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
伊藤 博明 Saitama University, 教養学部, 教授 (70184679)
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Keywords | シビュラ / アウグスティヌス / ラクタンティウス / ロレンツォ・ヴァッラ / マルシリオ・フィチーノ / 聖史劇 / ギベルティ / アゴスティーノ・ドゥッチョ |
Research Abstract |
1)ルネサンスにおける文学・思想的背景の研究-(1)アウグステイヌス『神の国』、ラクタンテイクス『神学大系』に見られる「シビュラの託宣」のルネサンスにおける受容、(2)ロレンツオ・ヴァッラ、プラティナなど、ロ-マの人文主義者・文学者によるシビュラぉよび「シビュラの託宣」への言及。(3)プラトン・アカデミーの頭首マルシリオ・フイチーノの『キリスト教について』におけるシビュラの議論について考察し、当時のシビュラ解釈の多様性について示した。 2)ルネサンス・シビュラ文献の研究-(1)「聖史劇」(ベルカラーリ『聖告』、『レヴェッロの受難』などに登場するシビュラ)、(2)ローマのパラッツオ・オルシーニの壁画に描かれた12人のシビュラ(現存せず)に関するテクスト『キリストの受肉に関する12人のシビュラの予言』。(3)バッチョ・バルデイ一ニおよびコジモ・ロッセッリによる銅版画(図像とテクスト)、(4)フィリッポ・バルペソーニによる1481年刊行の『聖なる博士、ヒエロニムスとアウグスティヌスの不一致』について考察し、各シビュラ文献の影響関係について明らかにした。 3)シビュラ図像の研究-(1)フラ・アンジェリコのサン・マルコ修道院壁画、(2)ロレンツオ・ギベルティによるサン・ジョヴァンニ礼拝堂門扉の浮彫、およびオルサンミケーレ聖堂の壁面に置かれた彫像、(3)アンドレーア・デル・カスターニャによるヴィッラ・カルドゥツチ(フィレンツェ郊外)の壁画。(4)アゴスティーノ・ドゥッチョによる、リミニのテンピオ・マラテスティアーノの彫刻について考察し、美術史上の展開を跡づけた。
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