2008 Fiscal Year Annual Research Report
映画を媒介とした消費と教育の史的関係--戦前期日本を中心に
Project/Area Number |
19520099
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤木 秀朗 Nagoya University, 文学研究科, 准教授 (90311711)
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Keywords | 芸術諸学 / 映画 / 近現代史 / 教育史 / 日本史 / 消費文化 / メディア / 視覚文化 |
Research Abstract |
投稿から査読を経て出版されるまでにかなりの時間を要するために年度内に出版された論文は多くないが、来年度以降に出版される予定のものが少なからずある。中でも、本プロジェクトの主要な成果が、森話社から私の編著で刊行予定の『日本映画史叢書 第15巻 観客へのアプローチ(仮題)』に発表されることになっている。これは、民衆と映画観客の関係を消費と教育という観点から捉えるものである。現在、英国の日本研究学術雑誌Japan Forumへ投稿中の、映画広告に関する論文は、一度修正後、まだなお査読中である。また、前著『増殖するペルソナ--映画スターダムの成立と日本近代』の英語版に関して、アメリカの某大学出版局と契約が取れそうな段階まで来ているが、日本語版での議論に加筆修正して、ここにもこの2年間の科研費での成果を盛り込む予定である。その他、アメリカの映画学術雑誌、The Moving Image, vol. 9-1(ミネソタ大学出版局)、および、イギリスのアジア研究雑誌The International Journal of Asian Studies, vol. 6, Issue 02(ケンブリッジ大学出版局)に依頼されて投稿中の書評でも、本プロジェクトの成果を少なからず踏まえている。また、次年度以降で発展させる戦後の問題に関して、平成21年秋に刊行予定の日本研究雑誌Review of Japanese Culture and Society(城西国際大学)に論文掲載が決まっている。これは、平成21年1月に名古屋大学で開催されたシンポジウムでの発表がもとになっている。これらはいずれも、これまでの映画研究、日本研究ではそれほど手がつけられていなかった領域であり、また海外へ発信しているという点でも意義がある。今後は、単著の執筆を進めることでこの点を克服して包括的な成果へとつなげたい。
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