2007 Fiscal Year Annual Research Report
バリ島の音楽・舞踊と文化政策に関する民族音楽学的研究
Project/Area Number |
19520106
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
梅田 英春 Okinawa Prefectural University of Arts, 音楽学部, 准教授 (40316203)
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Keywords | インドネシア / バリ島 / 文化政策 / 音楽 / 舞踊 / 民族音楽学 / 芸能 |
Research Abstract |
本研究は、インドネシア政府主導で行われてきた芸術文化政策によって変化を余儀なくされているバリ島(バリ州)の音楽・舞踊に焦点を当て、その具体的な変化の状况を明らかにすることを目的としている。 平成19年度の調査においては、主に1950年代から現在まで、政府主導(中央・地方両政府)によって行われてきた芸術文化政策全体を概観することと、1950年代スカルノ政権下で行われてきたいわゆる「社会主義舞踊」とよばれるいくつかの舞踊がそのような経緯で創作され、それがバリ全土に広がりを見せたのか、という点を中心に調査を行った。 芸術文化政策全体を明らかにするために、音楽・舞踊といった芸術関連と関わる諸機関(官庁・教育機関)に着目し、インドネシアでの現地調査において、各機関においてさまざまなドキュメントなどを収集し、分析を行った。また実際の政策の方法などについては、当時そうした政策に直接関わった人々へのインタヴュー、またそうした政策を受ける側にいた人々のインタヴューなどを数回にわたっておこなった。そうした結果、芸術文化政策は「押し付け」ではなく、人々がそれまで伝承してきた音楽や舞踊を、政府の求める様式へと自主的に変化させることができるような巧みな方法が用いられていたその仕組みを明らかにした。 また具体的に1950年代の芸術文化政策については、当時の政策が推進した作品の作曲者に直接インタヴューすることで、実際には音楽・舞踊作品への政府の関与は、作品が創作されてから後のことであることが明らかになった。つまり政府が「創作させた」わけではなく、作品そのものが政策的内容に合致したことから、それが利用されたということである。 以上のように、平成19年度の調査・研究から、バリ島の音楽・舞踊と文化政策に関する新たな事実を見出すことができたのは、本研究の大きな成果である。
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