2008 Fiscal Year Annual Research Report
「市民的様式」としてのゴシックの確立-ロンドン王立裁判所に関するデザイン史的研究
Project/Area Number |
19520107
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Research Institution | Ferris University |
Principal Investigator |
近藤 存志 Ferris University, 文学部, 准教授 (00323288)
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Keywords | イギリス芸術文化 / イギリス建築史 / デザイン史 / ゴシック・リヴァイヴァル / ゴシック建築 / ロンドン王立裁判所 / ヴィクトリア朝時代 / イギリス:イングランド |
Research Abstract |
平成20年度は、19世紀イギリスに展開したゴシック・リヴァイヴァルのデザイン運動を「市民的様式」の確立を目指した一大社会運動として位置づけ、ヴィクトリア朝ゴシック建築の代表的事例であるロンドン王立裁判所に当時のイギリス市民社会の諸相がデザイン的にどのように反映されたかを検討した。具体的には、ストリートがロンドン王立裁判所において実現させたゴシック様式による「古典主義的モニュメンタリティ(記念碑性)」を、盛期ヴィクトリア朝のイギリス社会における(1)中世ゴシックを愛国的・民族的視点から理想視した風潮、(2)公共建築のデザインを自国の芸術的アイデンティティの表明の機会とみなした風潮、(3)公共建築の設計競技に対する一般市民の広範な関心、の成果として検討した。本研究で得られた知見は、“George Edmund Street's Patriotic-Religious Vision:The Narrative Strategy of a Gothic Revivalist"と題して平成20年10月に開催された国際会議ICDHS2008OSAKA:The 6th International Conference on Design History and Design Studiesにおいて発表した。また本研究課題の中心テーマについては、“Design as Emblem:The Royal Courts of Justice in Imperial Britain"と題して本年10月に開催されるIASDR2009SEOUL:International Association of Societies of Design Researchにむけて目下、準備中(同発表のAbstractは採択済み)である。なお、本研究課題を実施した過程で得られた副次的知見は、平成20年11月に米国イェール大学において開催されたNorth American Victorian Studies Associationの年次大会での発表“Rood Screens in Victorian Painting:The Restoration of Spatial Order in Christian Ritual"、および論文「フォード・マドックス・ブラウン画《ジョン・オブ・ゴーントに自らの翻訳聖書を読んで聞かせるジョン・ウィクリフ》における『キリスト教的中世』の主題」(『フェリス女学院大学文学部紀要』第44号、2009年3月)に反映させた。
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Research Products
(4 results)