2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代ギリシャ絵画研究-新古典主義の受容とビザンティンの伝統
Project/Area Number |
19520108
|
Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
木戸 雅子 Kyoritsu Women's University, 国際学部, 教授 (10204934)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 杜幾子 明治学院大学, 文学部, 教授 (70162972)
|
Keywords | 近代絵画史 / 新古典主義絵画 / ロマン派絵画 / ナザレ派 / ポスト・ビザンティン絵画 / ギリシャ独立戦争 / 国際情報交換 / ギリシャ:フランス:ドイツ |
Research Abstract |
三年計画の初年度にあたり、基本的文献の収集と現地調査を行った。研究代表者は、19世紀の近代絵画史における全般的な文献と、各画家のモノグラフの収集を主に行った。またギリシャ独立戦争後に将軍マクリヤニスの支持のもとにイコン画家が描いた戦争の一連の記録画についての文献資料を集中して収集した。またマクリヤニス将軍の自伝及び戦争の記録の文献を読み進めている研究分担者・鈴木と大原は、それぞれが専門分野とするフランス19世紀絵画とドイツロマン主義絵画の観点から19世紀初頭のギリシャ人画家たちの作品研究、資料研究を進めた。両分担者は、11月にアテネの国立絵画館、国立ベナキ美術館、ビザンティン美術館、カネロプロス美術館、アテネ市立近代美術館等に収集されているギリシャ近代絵画史の中心的作品を現地調査した。鈴木はフランスの19世紀絵画に影響を受けている画家を中心に、大原はミュンヘンで雨家として活動した画家とその周辺の画家を中心に資料収集し、研究を進めている。また国立歴史博物館に所蔵されている、マクリヤニスによるギリシャ独立戦争の連作を調査しそこに見られる近代ギリシャ人にとってのビザンティン・イコンの伝統的美意識とビザンティン時代のイコン画との比較のためにオシオス・ルカス修道院、ビザンティン美術館でイコン画を調査し、19世紀ヨーロッパ絵画の視点でそれらと、19紀ギリシャ人画家の作品との比較をこころみた。これらの研究から、次年度に向けてそれぞれ中心的研究対象とし木戸は、マクリヤニスと画家ゾグラフとその戦争画及びミュンヘンのナザレ派の影響を受けた画家について、研究分担者はそれぞれ画家ヴリザキスとリトラスを中心に本研究課題を掘り下げて、19世紀に独立したギリシャ人が西欧の目を通して古代ギリシャを再発見しつつも、ビザンティンの末裔としての民族意識にいかにこだわったのかその関係を明らかにしていくという展望が開けた。
|