2007 Fiscal Year Annual Research Report
壕界における東アジア文化の受容と継承-松浦・平戸地方の中国・朝鮮・日本の美術作品
Project/Area Number |
19520121
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
中西 真美子 Sojo University, 芸術学部, 講師 (60331071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊竹 淳一 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (10000374)
錦織 亮介 北九州市立大学, 文学部, 教授 (80047729)
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Keywords | 松浦 / 平戸 / 美術 / 松浦党 / 文化交流 / 五島 |
Research Abstract |
日本の最西北端に位置する壱岐・対馬・松浦地方は、古代から近世に至るまで常に東アジアに向かう交通の要衝地であり続けた。海上交通を駆使した国内外との交渉・交易を通して古くから日本の政治中心地とも強い関わりを保ち続けた当地方には、その地域的特性を示しながら詳細に調査の行われていない文化財が豊富に残されていることが推察される。本研究は、特に松浦・平戸地方を中心として文化財調査を実施し、ことに美術作品を通して東アジアの境界における文化の受容と継承の様相をあきらかにしようとするものである。本年度は、松浦市内・平戸市内・佐世保市内・唐津市内・五島列島の一部の寺院等において現地調査を行った。その結果の一部を以下に記すと、松浦市では南北朝時代の仏像から薪たな銘文を、佐世保市では平安時代後期に制作されたと考えられる仏像の存在を新たに確認するなどの成果を得た。前者の銘文は、松浦党の流れの中に位置づけられる人物の南北朝時代における活動の一端を伝えるものであり、後者は現在確認されている佐世保市内の仏像のうち最古級に属する作例であることが明らかとなった作品である。また、松浦市・平戸市において、鎌倉時代から窒町時代の懸仏の調査を実施し、その時期の当地における懸仏の様式変遷の概要をうかがうことができた。さらに、海上ネットワークを駆使して活躍しだ松浦党の本拠地の一つである五島列島を調査対象として加え、本年度はその北半に含まれる地域を現地調査し、国内の他地域のみならず中国と当地域とのかかわりを示す作例を確かめるなどの成果を得た。このように本年度は、松浦地方をはじめとする九州西北端地方と国内外との活発な文化交流の様相を推測させる作品の数々を調査することができた。現在は、関連する文献資料の収集に努めながら、順次現地調査で得た資料の整理・検討を進めている。
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