2007 Fiscal Year Annual Research Report
懸仏の製作技法に関する基礎的研究-自然科学的手法を用いた歴史研究の試み-
Project/Area Number |
19520127
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Research Institution | Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science |
Principal Investigator |
日高 里佳 (石井 里佳) Gangoji Research Institute of Archaeology, Cultural Anthropology, and Conservation Science, 研究部, 研究員 (30250351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 耕三 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
高橋 平明 財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 学芸員 (60261210)
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Keywords | 仏教美術 / 蛍光X線分析 / 民俗学 / 神仏習合 / 銅製品 |
Research Abstract |
本研究は、懸仏の形態観察と蛍光X線による元素分析の結果から、懸仏の製作技術の変遷を人文科学的な側面と自然科学的な側面から明らかにするものである。那比新宮神社懸仏のうち直径50cmを超える大型のものが10点ほどあるがいずれも優品であり、表現形式や推定製作年代もさまざまである。しかし、懸仏の多くは量産型とも言うべき直径30cm以下の小型品である。これらの形態観察を行った。 また、自然科学的分析方法は、蛍光X線分析装置を用いた。可搬型蛍光X線分析装置を那比新宮神社に持ちこみ、町仏の鏡面を中心に測定を行った。 鏡面については、鋳造と思われるものからは、銅のほかに、鉛、錫等を検出した。一方、圧延造と思われるものは銅しか検出されないもののほかに、銅に加えて水銀を検出するものが多く存在した。水銀の性質から考えて、合金の段階で添加された水銀が残存しているとは考えにくい。水銀朱等の彩色、空気中の汚損物質の付着、鏡面表現のための鍍水銀等の可能性か考えられる。水銀が検出された理由については、今後、他の懸仏の分析、他の銅製品の製作技法などから考察することとする。 また、那比新宮神社のほかに、大分県日田市老松天満社に、多数の伝世懸仏があることを確認し、調査を行なった。その他に、新潟県糸魚川市能生白山神社、香川県善通寺等の懸仏調査を行なった。
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Research Products
(1 results)