2010 Fiscal Year Annual Research Report
寛文期から元禄期にかけての名所資料に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19520131
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
綿抜 豊昭 筑波大学, 大学院・図書館情報メディア研究科, 教授 (30211676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 聡 中部大学, 人文学部, 准教授 (90280081)
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Keywords | 歌枕 / 俳枕 / 芭蕉 / 高野幽山 / 和歌文学 / 俳文学 / 旅 / 地誌 |
Research Abstract |
本研究初年度より、他の多くの歌枕資料の中での、高野幽山の『和歌名所追考』の位置づけを明確にしてきた。その成果の一つは、「江戸時代前期地誌・歌枕資料一覧」(科学研究費研究成果報告書、全72ページ)として、研究代表者と研究分担者の共編によりまとめた。本一覧は、高野幽山の『和歌名所追考』の異質性を際立たせる為に、成立前後の年代を含みこむ形で、明暦期から享保期に至るまでの、地誌や歌枕を網羅し、その所在を明確にしたものである。この一覧表の作成により、他の同時代歌枕資料の中で、比較考察すべき資料に検討をつける事が出来、更に活字化されていないものも明確にしていく事により、今後歌枕データベースの基礎資料とする事が出来る。『俳枕』を視野に入れた、近世前期の歌枕資料の研究は、和歌から俳諧への歌枕、俳枕の意識の変遷を見る事が出来るとともに、芭蕉などにより行われた歌枕探訪の意識の中に、談林俳人の幽山などの意識と共通するものが見られるかどうかという事についても考察する事が出来る。これは、俳人にとっての旅という意識を考察していくことにつながるものと考える。 また、研究代表者により、全国にわたる『和歌名所追考』の内、越中国、陸奥国、越前国、安房国、津軽国などの翻刻が随時なされていっている。今後、更に翻刻を続け、データベース化していく事により、他の歌枕資料の中での、神宮文庫本『和歌名所追考』の位置づけが明らかにされていく事と考えられる。更に幽山自身の『俳枕』および俳人の編んだ他の名所集と比較する事により、歌枕から、俳枕への変遷をたどっていきたい。
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Research Products
(4 results)