2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520146
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡辺 秀夫 Shinshu University, 人文学部, 教授 (90123083)
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Keywords | 勅撰和歌集 / 礼楽思想 / 和漢比較文学 |
Research Abstract |
1、(1)勅撰集序の注釈的研究に関し、「古今和歌集序」の鎌倉以降近世に至る古注釈の解釈例の思想的背景の検討を行うとともに、中・近世における礼楽思想の変容過程を検証する一環として、熊沢蕃山『源氏外伝』における礼楽思想の分析を行った。また、(2)平安期の時令思想を和漢比較的観点から対照するために『大唐開元礼』の受容及び古代文学との相関を検討した。(3)『源氏物語』と音楽との関係を論じた研究史を総覧し、それらが専ら楽器・奏法論的考察に終始し、楽論・思想論的-中国古代音楽論的観点からのアプローチの希薄なことを確認するとともに、礼楽論的角度から物語中のさまざまな表現論との摺り合わせを試み、有効な指針を得た。(4)真名・仮名序の文体的相互補完性を測るため、あらためて平安期の和漢比較対照的な表現世界における「国風」なるものの検証を行った。その成果の一部が「平安時代の国文学と漢文学」(『歴史評論』702号・歴史科学協議会)である。(5)国会図書館・国立公文書館・早稲田大学図書館及び神田古書街等での資料調査を行った。 2、もの・自然景物と感情との詩学的(東洋音楽論的)関係を『源氏物語』の自然描写の基底にある思想・イデオロギーの共通性のなかに検証した。その一部は、「平安時代の和歌文学と自然・四季-『源氏物語』の自然描写の基底-」(『源氏物語』一千年記念国際会議・ワルシャワ学図書館・2008年10月21日及び同24日Mangghaセンター・クラクフ市)で講演発表した。
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